水上勉という日本を代表する小説家がいます。
文学界には、「推理界の量産作家四天王」という言葉があります。
この四天王とは、松本清張、水上勉、笹沢左保、梶山季之の4人です。
水上勉というと、文芸作家というイメージがありますが、実は推理小説からスタートした作家なのです。
社会派推理小説という分野でたくさんの作品を発表しました。
水上勉は、1958年に服の行商の電車の中で松本清張『点と線』を貪り読み、これに刺激されて、日本共産党の「トラック部隊」を題材にした推理小説を書き、『霧と影』の題名で発行し、初版3万部が1ヶ月で売り切れ、一躍流行作家となりました。
当時生活を支えるために水上の妻がキャバレーのホステスとして働いていたが、原稿料を届けに行った人が「奥さん、長いこと、ご苦労さんでした。水上さんは、これで、作家になられました」と言ったという逸話があります。
その後も『飢餓海峡』、『五番町夕霧楼』など多くの作品を発表し、多くの文学賞などを受賞しました。
映画化作品は以下の通りです。
- 『霧と影』第二東映 1961年、丹波哲郎
- 『雁の寺』川島雄三監督、大映、1962年、若尾文子、木村功
- 『越前竹人形』吉村公三郎監督、大映、1963年、若尾文子、山下洵一郎
- 『五番町夕霧楼』田坂具隆監督、東映、1963年、佐久間良子、河原崎長一郎
- 『越後つついし親不知』今井正監督、東映、1964年、三國連太郎、佐久間良子
- 『波影』豊田四郎監督、1964年、若尾文子、中村嘉葎雄
- 『沙羅の門』久松静児監督、1964年、森繁久弥、団令子
- 『飢餓海峡』内田吐夢監督、東映、1965年、三國連太郎、左幸子
- 『湖の琴』田坂具隆監督、東映、1966年、佐久間良子、中村賀津雄
- 『あかね雲』1967年、松竹、篠田正浩監督、岩下志麻、山﨑努
- 『はなれ瞽女おりん』篠田正浩監督、東宝、1977年、岩下志麻、原田芳雄
- 『白蛇抄』伊藤俊也監督、東映、1983年、小柳ルミ子、杉本哲太
- 『父と子』保坂延彦監督、サンリオフィルム、1983年、小林桂樹、中井貴一
- 『土を喰らう十二ヵ月』中江裕司監督、日活、2022年(予定)、沢田研二
これから、ミステリー映画の一環として、水上勉原作映画をレビューして行きます。