佐藤浩市の映画 「KT」 金大中拉致事件を描いた日韓合作映画! 主演は佐藤浩市! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「KT」

 

KT』のスタッフ・キャスト | ciatr[シアター]

 

「KT」 予告編

 

 2002年5月3日公開。

実話を元にした日韓合作映画。

第52回ベルリン国際映画祭コンペティション部門正式出品作品。

第24回ヨコハマ映画祭2002年日本映画第4位。

第76回『キネマ旬報』ベスト・テン第3位。助演男優賞(香川照之)受賞。

 

原作 - 中薗英助『拉致-知られざる金大中事件』

脚本 - 荒井晴彦

監督 - 阪本順治

 

キャスト:

  • 富田満州男(陸上自衛隊中央調査隊) - 佐藤浩市
  • 金車雲 - キム・ガプス (김갑수)
  • 金大中 - チェ・イルファ(최일화)
  • 神川昭和 - 原田芳雄
  • 金甲寿 - 筒井道隆
  • 李政美 - ヤン・ウニョン
  • 金俊権 - キム・ビョンセ
  • 佐竹春男(陸上自衛隊中央調査隊) - 香川照之
  • 塚田昭一 - 大口ひろし
  • 内山洋(陸上自衛隊中央調査隊) - 柄本明
  • 柳春成 - 光石研
  • 洪性震 - 利重剛
  • 川原進 - 麿赤兒
  • 甲寿の母 - 江波杏子
  • 高島俊子 - 中本奈奈
  • 趙勇俊 - 平田満
  • 柳沢三郎 - 白竜
  • 高井警察庁長官 - 浜田晃
  • 官房長官 - 佐原健二
  • 外事課警部補 - 山田辰夫
  • 尹英学 - 康すおん (カン・スオン)
  • 金銅忠 - 金廣照 (キム・カンジョ)
  • 金君雄 - 木下ほうか

 

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あらすじ:

73年6月、朴軍事政権下の韓国から亡命し、日本で故国民主化の為に精力的な活動をしていた金大中(チェ・イルファ)を拉致暗殺せよとの至上命令を受けた駐日韓国大使館一等書記官・金車雲(キム・ガプス)らは、いよいよそれを実行に移そうとしていた。

名付けてKT作戦。

その作戦に、朴大統領と陸軍士官学校時代から繋がりを持つ自衛隊陸上幕僚二部部長・塚田(大口ひろし)によって、民間興信所を開設しKCIA(韓国中央情報部)にサポートするよう命じられた陸幕二部所属の富田(佐藤浩市)は、様々な手を使って金大中の行方を追うが、その度に、大使館内部の密通者に偽の情報を掴まされてしまう。

そんな中、彼は金大中の取材に成功していた夕刊トーキョーの記者・神川(原田芳雄)に接近し、遂に金大中が8月9日に自民党で講演を行うとの情報を入手。

報を受けた金車雲は、それを機に作戦を実行しようとする。

ところが、またしてもその計画が漏洩し、神川を通して週刊誌にスクープされてしまった。

この事態に、KCIAは金大中が講演の前日に日本滞在中の民主統一党党首・梁宇東を訪ねる機会を狙って、強行手段に打って出ることに。

そしてそこには、自衛隊関与の疑惑を恐れた上官から一切手を引くように言い渡されながら、想いを寄せる韓国人女性・李政美(ヤン・ウニョン)の手術費用を協力費として金車雲から受け取った富田の姿があった。

予想外の展開があったものの、金大中拉致に成功する金車雲たち。

彼らは、用意してあった船で故国へと走り出すが、アメリカの要請を受けた自衛隊によって計画は阻止されてしまうのだった。

その後、上官から退官を命じられた富田は、金車雲を心配して全てを神川に告白。

李政美と田舎で暮らすそうとするが、一発の銃弾によって命を奪われる。

 

映画「KT」をみました! | S美先輩の観劇・エンタメブログ

 

コメント:

 

金大中事件の真実に迫ったポリティカル・サスペンス映画。

1971年4月に行われた韓国大統領選挙は僅差で朴正煕の三選が決まり、敗れた野党候補の金大中は、朴正熙大統領の地位を脅かすことが明らかとなった。

金大中は日本を訪れるが、その時朴大統領は非常戒厳令を宣言し、反対勢力の弾圧に乗り出した。

追われる金大中と追う当局の戦いが始まる。

 

映画『KT』あらすじ・ネタバレ感想!豪華キャストで「金大中拉致事件」を描いた初の日韓合同作! | ミルトモ

 

実話ベースのミステリアスな物語から漂うソリッドな緊迫感が心地良く、阪本順治にはこの手の映画をもっとたくさん撮って欲しいな、と思ってしまう硬派なポリティカルサスペンスだ。

 

軍隊だはない軍隊とは今も変わっていない自衛隊の位置づけだ。

その自衛隊の中で武器を取って戦わない人たちがいる。

それが諜報部員だ。


この映画は過去に起こった金大中拉致事件に関わる自衛隊の諜報部員と、KCIAの暗躍を描いている。

事実かどうかはわからないが、このようなことはあり得る。

 

三島由紀夫の自決報道から始まって、彼の思想を指示する自衛隊員(佐藤浩市)が新聞記者(原田芳雄)の言葉に無言の拳を返したその理由を本流に、史実を巻き込みながら展開していく。

KT:阪本順治

筒井道隆、香川照之、平田満、柄本明と豪華キャストが出演している。
無駄のないキレのいい台詞が良い。


「日本人だけはだめ!」

母国語を覚えようとしなかった息子の彼女を拒絶した 江波杏子の静かな名演が光る。


ラストの、加害者と被害者、その両者の犠牲者を素朴に熱演していたヤン・ウニョンが素晴らしい。

 

ある朝鮮人女性が「日帝36年の恨(ハン)を忘れたのか」と言った台詞が今も変わらぬ日韓関係を如実に思い起こさせてくれる。少なからず韓国の歴史の暗部も垣間見せてくれる。
貧乏人対金持ち(エリート)という構図も今もって変わらない。

2002年の映画だが、現代はその構図がもっとひどくなっているのかもしれない。
韓国人の精神がよく描かれているとともに、自衛隊の位置づけについての問題点も指摘している。

 

こんな素晴らしい貴重な作品だが、大コケとなった。

公開当時、「史上初の日韓同時公開」と喧伝されたが、韓国では不入りを理由に2週間ほどで上映打ち切りとなり、興行的には惨敗した。

やはり政治的な映画は難しいようだ。

 

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