倍賞千恵子の映画 「男はつらいよ 望郷篇」シリーズ第5作 マドンナは長山藍子! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「男はつらいよ 望郷篇」

 

 

男はつらいよ 望郷篇 予告編

 

 

1970年8月26日公開。

マドンナは、長山藍子

男はつらいよシリーズ第5作。

興行収入:1億8000万円。

 

 

脚本:山田洋次・宮崎晃

監督:山田洋次

 

出演者:

渥美清、倍賞千恵子、長山藍子、前田吟、杉山とく子、井川比佐志、笠智衆、津坂匡章、松山省二、佐藤蛾次郎、太宰久雄、三崎千恵子、森川信

 

 

あらすじ:

寅さんは旅先で、おいちゃんが病気で倒れる夢を見てそのことが気にかかり、故郷の葛飾・柴又に帰ってくる。

おいちゃんの車竜造は、たまたま遊びに来た隣家の工場主の梅太郎の横で、暑さのために、グッタリして、横になっているが、これを見た寅さんは「やっばりあの夢はほんとうだった」と手回しよろしく帝釈天の御前様はじめ近所の人や、葬儀屋まで集めてしまう。

悪意がないとは知りながらも、生き仏にされてしまったおいちゃんの怒りは常にもまして激しく、一方心の底からおいちゃんのことを心配してやった行為がどうしてこんな結果を招いてしまったのか理解に苦しむ寅さんは口論の末、大喧嘩となってしまった。

そこへ寅さんの舎弟・登が、昔寅さんが世話になった札幌の竜岡親分が重病で、寅さんに逢いたがっていることを知らせに訪ねてくる。

義理と人情を信条とする寅さんは、さっそく登を連れて札幌に向かった。

病院に着いてみると、親分にはもう昔の華やかな面影はなく、医療保護にすがって生きている今にも枯れはててしまいそうな老人に変わっていた。

身よりも無くたった一人の親分は寅さんの来道に涙を流して喜んだ。

そして寅さんを男と見こみ、最後の願いとして二十年前、旅館の女中に生ませた息子を捜してくれるよう頼むのだった。

二つ返事で引き受けた寅さんと登は息子捜しに奔走し、やっとの思いで小樽の居場所をつきとめたが、息子の澄夫から返ってくる返事は意外に冷たかった。

「二十年もほったらかしておいて今さら親子などと虫のいいことを言うな」という澄夫の言葉も考えてみれば当然のことであるが、義理、人情だけでは割り切れない人間心理の複雑さに寅さんは大きく動かされる。

そして病院に帰ってみるとすでに親分は息を引き取り、ここでもやくざ渡世の末路のみじめさを思い知らされる。

このことが原因で寅さんはやくざ稼業から足を洗うことを決意し、いやがる登を田舎に帰し再び柴又へ帰って来た。

寅さんの突如の変貌ぶりにおいちゃんたちは目を丸くして驚くのだが、地道に、額に汗して働こうと、心に誓った寅さんは柴又とは目と鼻の先の浦安の町の豆腐屋「三七十屋」に住み込みで働くようになる。

この店は、母親のとみと娘の節子の二人暮しだが、寅さんの働きぶりに二人ともすっかり感心し、次第に心を許すようになってくる。

ところがいつの間にか寅さんの節子に対する片想いが始まりこの噂はいつともなく浦安から柴又まで広がっていくが結局、節子の恋人・木村の出現によって、寅さんは失恋してしまう。

夢破れたあまりのいたたまれなさに耐えきれず、江戸川の花火大会の夜、寅さんはひとり淋しく浦安を後にするのだった。

 

 

コメント:

 

3作振りにメガホンを撮った山田洋次監督は、本作をシリーズ最終作の予定にしていたようだ。

それを物語っているのが、マドンナ・節子を演じた長山藍子と、彼女の母親役の杉山とく子と、節子の恋人役の井川比佐志の出演だ。

この三人はいずれもテレビ版で、さくら、おばちゃん、博を演じているからだ。

ところが、寅さん人気に拍車がかかり、映画のシリーズは続行されることになる。

これは寅さんファンにとってはありがたいことだ。

 

今回は寅さんが深刻な失恋を経験する。

恋をしては叶わぬ夢を見て、失恋してしまうという行動パターンを繰り返す寅さんだが、本作ほど、ひどいふられ方があっただろうか。

昔お世話になったテキヤの親分の末路を見て、かたぎになり、まじめに働く一大決心をした寅さんが浦安の豆腐屋で住込みで働き出す。

豆腐屋には節子という美人の娘がいた。

節子と母親は寅さんの働きぶりを見て、この先も店で働いてもらおうと思い、節子がそれを寅さんにほのめかす。

これを節子からのプロポーズと受け止めてしまうのだが、これは寅さんならずとも勘違いしてしまう。

現に一緒にいた源公が「兄貴、おめでとうございます」とお祝いを言うほどだ。

何とも罪作りな節子はさっさと結婚してしまうのだ。

 

おいちゃん役の森川信がいい。

寅さんが恋に落ちると頭が痛くなり、「まくら、さくらを取ってくれ」と、ボケをかまし、ふられることが分かっているので、「バカだねえ、あいつは本当にバカだねえ」とぼやき、ふられた後の騒動を恐れ、「知らねえよ、俺は知らねえよ」と、投げやりになる。

森川信のとぼけたキャラクターがあってこそのおいちゃんで、寅さんと丁々発止やり合えるのも森川のおいちゃんならではだ。

やっぱりこの展開は何度見ても笑える。

 

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