「しあわせになろうね 極道解散!」
1998年9月12日公開。
ヤクザの解散を巡るコメディ映画。
監督・脚本:村橋明郎
出演者:
渡瀬恒彦 、 風間杜夫 、 伊武雅刀 、 哀川翔 、 有森也実 、鈴木清順、 真田麻垂美 、 天宮良 、 大久保貴光 、 六平直政 、 中西良太、大久保貴光
あらすじ:
解散式を翌日に控えた山室組の事務所。
組長の山室渡瀬恒彦を初め、最後まで残った5人の組員は新しい人生に向けてそれぞれに準備を整えていた。
結婚して寿司職人になる恭平(哀川翔)、やくざを続けていくという大滝(六平直政)と宮島(中西良太)と道岡(大久保貴光)、田舎に帰って母親孝行をするつもりの木内(風間杜夫)。
そして組長は愛妻のりえ(有森也実)と悠々自適な生活を夢見ている。
みんな、それぞれに幸せになるつもりだった。
ところが、偶然つけたテレビから敵対する笹島組組長が何者かに殺害されたというニュースが流れたことから事態は一変する。
解散には笹島組との和解が条件なのだ。
笹島組長が死んだとなれば、解散は無効になってしまう。
しかも、若い組員のヒロシから「男になる」という謎めいた電話がかかってくる始末。
もし、ヒロシが笹島組長を殺ったのなら解散はおろか、抗争になってしまうだろう。
せっかくヤクザを辞めて堅気になるつもりでいた組長は、笹島組との仲裁人である武山総長(鈴木清順)に相談を持ちかける。
すると武山総長は、山室組長の首か一億円の現金を明日の朝までに用意しろと言ってきたのである。
解散を目前に控えまさか首なんか出せない、かと言って不景気の折から一億もの大金なんてそう簡単に出せる筈もない。
そうこう山室が悩むうちに、刑期を終えて出所してきた横山(天宮良)が事務所に戻ってきた。
血の気の多い彼は、幹部の大滝と共に笹島組と闘うことを提案する。
やはり抗争を覚悟しなければないないのか。
しかし、今の事務所には武器などひとつもありゃしない。
マルボーの刑事・平塚(伊武雅刀)やら暴力団追放運動が次々に押しかけてきて組の方針が決まらないまま、夜を迎える山室組。
タイムリミットは迫る一方だ。
そこへ、武山組長から条件の変更を伝える電話が入る。
新しい条件は、幹部一人の首と三千万の現金だった。
ホッと胸を撫で下ろす山室。
そして、木内が覚悟を決めた…。
だがその時、笹島組が総攻撃をしかけてきたのである。
次々に撃ち込まれてくる銃弾。
しかし、笹島組の組員は全員、その機会を狙っていたとしか思えない警察に逮捕されてしまうのであった。
どうやら、今回の騒動は武山総長と平塚が仕組んだ笹島組撲滅計画だったらしい。
翌日、無事解散式を迎えられた山室組のメンバーは、それぞれの幸せを求めて第二の人生を歩み始める。
コメント:
タイトルが「しあわせになろうね」とあるので、ラブストーリーかと思いきや、その後に「極道解散!」とある。
実に笑えるタイトルだ。
実際にあった話ではないかと思えるようなヤクザの衰退を描いた作品。
渡瀬恒彦が演じる山室組の組長がまじめに組を解散しようとしている所に、次々と事件が起こり、どうなるかと観ていると、何とヤクザの総長と警察が仕組んだ他の組の撲滅作戦だった。
これで、二つの組は消滅することになる。
ヤクザが足をあろうという事がいかに大変かが分かるコメディタッチの作品である。
この時期に「暴対法」が施行されて、どんどんヤクザが解散して行ったが、その様子が分かる作品だ。
コミカルなシーンが続くが、時代が変わる悲哀も感じさせてくれる。
渡瀬恒彦が演じる組長のキリカエ振りが良い!
組員達に見せるハードな表情と、恋女房の前でのニャ~ンとも可愛い笑顔!
風間杜夫が、細かい顔の演技で遊んでいる!
六平直政は、時代遅れのヤクザそのもの!
鈴木清順監督を役者として出ている!
コメディというより、シリアス色が濃い。
コミカルな味はベテラン俳優の表情で出しているだけで、ストーリーは超リアル!
人情モノって感じ。
エンドロールで見せる「その後」もイイ。
実際のヤクザはこんな会話をしているのかもと思わせる脚本だ。
好みの寿司ネタを、各自真面目に言うシーンが笑える!
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