大竹しのぶの映画 「一枚のハガキ」 新藤兼人監督による戦争体験ドラマ! 大竹しのぶの代表作品! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「一枚のハガキ」

 

一枚のハガキ - 作品 - Yahoo!映画

 

「一枚のハガキ」 予告編

 

2011年8月6日公開。

新藤兼人監督が自らの体験を基に製作した戦争体験ドラマ。

新藤兼人監督の遺作。

興行収入:1.5億円。

 

監督・脚本:新藤兼人

 

キャスト:

松山啓太
演 - 豊川悦司
海軍2等水兵で掃除部隊。任務完了後にくじ引きで宝塚歌劇団の劇場の掃除部隊に選ばれ、その後終戦を迎える。実家は広島県のとある島にあり戦前は漁師として働き、父・妻と暮らしていた。出征前夜に定造の願いを受けて、彼が友子のハガキを読んだことを伝えに森川家を訪れる。
森川友子
演 - 大竹しのぶ
森川家の嫁。元々貧しい家の娘で売春宿で働かされそうだったのを定造に助けられて嫁になる。戦争により最愛の夫・定造を亡くすが、森川家を支えるためたくましく生きようとする。働き者で基本的に辛抱強い性格だが、時に感情を露わにする。
森川定造(さだぞう)
演 - 六平直政
友子の夫。友子とは同じ小学校出身。啓太とは同じ掃除部隊で、寝起きする2段ベッドを自身と啓太で共用していたことから親しくなる。歌が上手で作中で『影を慕いて』(古賀政男の曲)を歌っている。友子によると指は太いが手先は器用。甘いものが好き。
泉屋吉五郎
演 - 大杉漣
村の責任者で、警防団団長。同じ村の定造などの出征時に送り出す役目、及び戦死した時の報告の役目を担う。妻子がありながら、いつ頃からか友子に好意を寄せ始め色々と世話を焼くようになる。柔道5段で腕っ節が強い。
森川勇吉
演 - 柄本明
定造の父。過去に売春宿に売られそうだった友子を、自身の田んぼを売って助けたが余裕のない暮らしをしている。定造が戦死し、自身は心臓が悪く高齢で農作業ができないため、働き手として友子に家に残って欲しいと頼む。
森川チヨ
演 - 倍賞美津子
定造の母。定造亡きあと、友子を働き手として頼りにしている。嫁姑関係は良好。密かにコツコツと小銭を貯めて床下に隠している。
利ヱ門
演 - 津川雅彦
啓太の伯父。啓太と同じ町に暮らしていて親しくしている。実家に帰ってきた啓太に美江と彼の父の経緯を説明する。
森川三平
演 - 大地泰仁
定造の弟。町の製材所で働いていたが定造の戦死の知らせを聞いて、後を継ぐために実家に戻ってくる。
松山美江
演 - 川上麻衣子
啓太の妻。近くの島から嫁いできた気立ての良い女性。しかし戦時中に啓太から連絡がないことから戦死したと思い込み、他の男と恋仲になり、その後松山家を出て大阪で暮らし始める。
利ヱ門の妻
演 - 絵沢萠子
利ヱ門と2人で、店で売るために魚を天日干しにするなどして働いている。
和尚
演 - 麿赤兒
森川家にお経を唱えに来る。
下士官
演 - 渡辺大
啓太たち掃除部隊の任務が終わり、次の赴任先の選考方法などを説明する。100名いる掃除部隊は上官によるくじ引きで、60名がフィリピンのマニラへの陸戦隊、30名が潜水艦に、10名は別の場所で再び掃除部隊に赴任先が決定する。
兵事係
演 - 木下ほうか
警防団団員。泉屋の部下のような存在。泉屋に付き添い出征兵を送り出したり、森川家に赤紙を持ってくるなどしている。あまり感情を表に出さず、事務的に粛々と任務をこなす性格。

 

ナイトウミノワ na Twitteru: "新藤兼人監督の遺作『一枚のハガキ』がなかなかに面白く(反戦映画だがユーモアもあり、家が燃えるからいい映画)、撮影当時98歳のおじいちゃんから見たら大竹しのぶ当時約54歳も若くみえるのか、子供を生むとか産まないとかいう話をしてい  ...

 

あらすじ:

戦争末期に召集された100人の中年兵は、上官がくじを引いて決めた戦地にそれぞれ赴任することになっていた。

クジ引きが行われた夜、松山啓太(豊川悦司)は仲間の兵士・森川定造(六平直政)から妻・友子(大竹しのぶ)より送られてきたという一枚のハガキを手渡される。

「今日はお祭りですがあなたがいらっしゃらないので何の風情もありません。友子」

検閲が厳しくハガキの返事が出せない定造は、フィリピンへの赴任が決まり、生きて帰って来られないことを覚悟し、宝塚へ赴任する啓太にもし生き残ったらハガキを持って定造の家を訪ね、そのハガキを読んだことを伝えてくれと依頼する。

戦争が終わり100人いた兵士のうち6人が生き残った。

その中の一人、啓太が故郷に帰ると、待っている者は誰もおらず、家の中は空っぽだった。

啓太が戦死したという噂が流れ、恋人同士になってしまった妻と啓太の父親は、啓太が生きて帰ってくるとわかり二人で出奔したのだった。

生きる気力を失い、毎日を無為に過していた啓太はある日、荷物の中に定造から託されたハガキを見つける。

一方、夫を亡くした友子は悲しみに浸る間もなく、舅姑から自分たちは年老いて働けないのでこのまま一緒に暮らしてほしいと頼まれる。

その上、村の習わしで長男が死んだら次男が後継ぎとなることが決められており、友子には次男の三平(大地泰仁)と結婚をしてほしいという。他に身寄りのない友子は、愛する夫との幸せな人生を奪った戦争を恨みながらも、定造の家族と生きていくことを承諾する。

ささやかな儀式で夫婦となった友子と三平だったが、しばらくすると三平も戦争に招集され戦死。

その後、舅と姑が立て続けに死に、ひとり残された友子は定造の家族が唯一残した古い家屋と共に朽ち果てようとしていた。

そんなある日、ハガキを持った啓太が訪ねてくる。

クジ運だけで自分が生き残ったことに罪悪感を感じる啓太と、家族も女としての幸せな人生も、何もかも失ってしまった友子。

戦争に翻弄され、すべてを奪われた二人が選んだ再生への道とは……。

 

ネタバレ:

昭和19年、日本は戦争真っ最中であった。

男性は次々と徴兵され、抗うことも許されずに戦地へと送られる。

そんな中、天理教本部に100名もの男性が招集されていた。

そして、彼らは見事、全員が中年ばかりのいわゆる中年部隊だったのだ。

彼らの赴任先は、自分達よりも年下であろう上官がくじ引きでそれぞれ決めることになっていた。

そして、10名が後に予科棟が入ることになる宝塚歌劇壇での掃除係、30名が潜水艦の乗船員、60名が激戦区であるフィリピンに派遣されることとなった。

 

そして、そこで松山啓太(豊川悦司)と森川定造(六平直政)は知り合った。

啓太は赴任先の中でも比較的安全だと思われる、宝塚歌劇壇に運良く配属が決まる。

しかし、定造は最も激しい戦いになることが予測されるフィリピンの内陸戦地への赴任が決まってしまったのだった。

その夜、定造は啓太を呼び出すと、彼にとある物を託す。

それは、自分の妻から届いた一枚のハガキであった。

そのハガキには、「今日はお祭りですが、あなたがいらっしゃらないので、何の風情もありません」と記されていた。

 

映画「一枚のハガキ」 BSで見る - 夕映えに

 

しかし、戦時中は検閲のために、ハガキの返事を書くことすら許されない。

そのため、定造は妻に自分がハガキを見たことすら伝えることができなかったのだ。

フィリピンへの赴任が決定した定造は自らの死を覚悟していた。

そこで定造は、そのハガキを啓太に託し、もし啓太が生き残ったならば、そのハガキを持って妻に会い、定造がハガキを見たことを伝えて欲しい、と言うのだった。

 

新藤兼人監督遺作 映画「一枚のハガキ」を見た 8/6 : hiro田のblog

 

定造の妻である友子(大竹しのぶ)は、家が貧しいために女郎として売り飛ばされそうになっていた過去があった。

そんなところを定造の家族に救われ、彼女は定造の妻となったのだった。

そして、戦争の最中、友子の元に訃報が届く。

それは、定造がフィリピンで戦死したという知らせだった。

定造を失った友子だったが、彼女はそのまま定造の家族と一緒に生活をすることとなる。

 

彼女たちが暮らす村には、とある習わしがあった。

それは、長男が亡くなった場合、次男が後継になるというものだった。

長男であった定造が亡くなったことで、次の後継は次男である三平(大地泰仁)に決定した。

そして、なんと、夫を亡くしたばかりの友子は三平と再婚させられることになったのだ。

彼女はそれを了承しながらも、内心は嫌で仕方がなかった。

何で死んだ、と定造を想いながら一人涙するのだった。

 

映画「一枚のハガキ」 BSで見る - 夕映えに

 

しかし、再婚相手である三平も、その後すぐに徴兵されてしまう。

そして、「きっと戻ってくる」と言い残した三平もまた、戦争で命を落としてしまったのだ。

息子二人の訃報を受けて、心労が祟り、父親の勇吉(柄本明)が倒れ亡くなってしまう。

そして、姑のチヨ(倍賞美津子)は、勇吉の後を追うことにした。

「このうんのわるいいえをすてて、にげてつかあさい」

そう友子に書き残し、60円を彼女に残したチヨは、そのまま一人首を吊ったのだった。

 

こうして、友子は一人取り残されてしまった。

しかし、友子に行くあてはない。

彼女は一人になっても、定造と過ごした家に留まり続けたのだった。

それから少しして広島に原爆が落とされた。

原爆投下によって、多くの被害者を生んだ戦争は終結を迎えた。

 

100名いた中年部隊で生き残ったのは、たったの6人だけとなっていた。

そして、幸運なことに啓太はその内の一人だった。

しかし、彼も幸運なことばかりではなかった。

戦時中、啓太が亡くなったという訃報が流れていた。

そして、なんと啓太の妻(川上麻衣子)と、あろうことか啓太の父親が肉体関係を持ってしまい、啓太を置いて大阪に駆け落ちしてしまっていた。

 

一人になってしまった啓太は故郷にも居づらく、いっそのことブラジルへ移住しようかと考える。

しかし、啓太には定造から託された、例の頼みがあるのだった。

そこで、彼はハガキを手に友子の元を訪ねた。

何故夫が死に、啓太が生きているのか。

やるせない怒りを啓太にぶつけてしまう友子だったが、その後啓太の気持ちも理解し謝罪する。

二人は定造の思い出話を交わしているうちに、少しずつ距離が縮まっていく。

そして、戦争によって一人ぼっちになってしまった二人の男女は、共に生活することになるのだった。

 

コメント:

 

新藤兼人が映画人生最後の作品として、自身の戦争体験を元に撮影した。2010年10月31日にクランクアップし、本作が遺作となった。

新藤兼人が満100歳で逝去する前年に製作した作品である。

 

2012年1月18日、第85回米アカデミー賞外国語映画賞に日本代表として出品された。

また、同年3月19日には第6回アジア・フィルム・アワードに出品された。 

公開日が広島市への原子爆弾投下日と同日であるため、配給元のテアトル新宿のほかに広島市の八丁座でも先行上映された。

 

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新藤兼人監督が自らの体験を基に、戦争によって翻弄される庶民の悲哀を描く。

こんなことがあるのかという、あり得ない運命のいたずら。

その果てに、取り残された男女が共に暮らすことになるというエンディングだ。

 

この映画で主演した豊川悦司と大竹しのぶが素晴らしい。

特に、苦労に苦労を重ねた挙句に、一人残されてしまった嫁の友子を演じている大竹しのぶの凄まじいまでの熱演には鳥肌が立つ。

これこそ大竹しのぶの後半における最高作品であろう。

 

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