かたせ梨乃の映画 「吉原炎上」 名匠・五社英雄監督による吉原遊郭の女郎たちの物語! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「吉原炎上」

 

映画【吉原炎上】名取裕子×五社英雄監督 | ∠かなめまよの胸はって行け〜〜!自信持って行け〜〜!

 

「吉原炎上」 予告編

 

1987年6月13日公開。

吉原遊郭の女郎たちの物語。

配給収入:6億円。

 

脚本:中島貞夫

監督:五社英雄

出演者:

名取裕子 、 かたせ梨乃 、 二宮さよ子 、 藤真利子 、 仁支川峰子 、根津甚八

 

主な女優たちの配役:

 

名取裕子:久乃⇒若汐⇒紫太夫

吉原炎上の主役である上田久乃は、花魁として後に若汐、紫太夫と名を変えていく。

彼女は実家の借金を返済するために売られてきた19才の女性である。

彼女は最初の客をとった時に、怖くなってしまって逃げ出してしまう。

そこで出会った古島信輔により、後の花魁人生がどんどん変わってゆく。

ごく普通女性が花魁として意識を高めて行く姿は圧巻だと評判になった。

 

吉原炎上』メイン5人の出演者の今を追ってみた!! - Middle Edge(ミドルエッジ)

 

 

かたせ梨乃:菊川

久乃の先輩格の女郎。

女将によって別の遊郭に異動させられてしまう。

菊川はあまり人気がなく、女将も他のところにやりたかったのだ。

その後菊川は結婚するのだが、浮気されてしまい、結局身売りされてもとに戻ってしまう。

しかし戻る場所のない菊川は、最下層の女郎にまで地位が落ちてしまう。

菊川を演じるのは、かたせ梨乃。

本作でもその演技力が高く評価されている。

 

 

 

二宮さよ子:九重

久乃(のちの若汐であり紫太夫)の姉さんとして世話係をすることになった花魁。あらすじのネタバレになるが、彼女は久乃が初めての客で逃げ出した時に、自分自身の身体を使って、お客をもてなす方法を叩き込んだ。

九重のキャストに抜擢されたのは、1948年生まれの女優である二宮さよ子。

彼女は「化石の森」や「陽暉楼」など数多くの映画やテレビに出演している。

かたせ梨乃と同じく、吉原炎上で演技力の高さを評価されたキャストの一人だ。

 


 

藤真利子:吉里

久乃が働くこととなった中梅楼で、九重に次ぐ2番手の花魁。

男運がめっきりなく、信じていた客にお金をせびられ、なんとか工面しようと奮闘する。

しかし、客はそんな吉里のことを裏切るのだった。

裏切られた彼女は半狂乱になり自らの命を絶ってしまう。

吉里のキャストに抜擢されたのは、1955年生まれの女優である藤真利子。

彼女は「ガラスの仮面」や「やんちゃくれ」など数多くの映画やテレビドラマに出演している。

 

 

 

西川峰子:小花

久乃が働くこととなった中梅楼で、九重、吉里に次ぐ3番手の花魁。

弟のために働いていたのだが、彼女自身が病気になってしまう。

血を吐いてしまい、もう働けなくなってしまった小花は、自分の地位を久乃に取られてしまい、半狂乱になってしまう。

小花を演じるのは、演歌歌手であり女優でもある西川峰子。

本作での濡れ場が評判となった。

 

男が通う極楽道、女が売られる地獄道】映画「吉原炎上」 (page 5) - Middle Edge(ミドルエッジ)

 

 

ネタバレ:

 

辛い思いをしながらもどんどん花魁という仕事に誇りを持ち始め、自分の夢も見つけていく物語である。

その昔、東京浅草の一隅に、吉原遊廓と呼ばれる歓楽の別天地があった。

そこでは借金に縛られた娘たちが六年の年季が明けるまで、春を売っていた。

 

久乃がここ吉原の“中梅楼”に遊女として売られてきたのは十八歳の春。

明治の末のことである。

中梅楼には花魁の筆頭とも言うべき、お職の九重をはじめ、二番太天の吉里、三番太天の小花に次いで、菊川などさまざまな遊女がそれぞれ艶を競っていた。

お職の身にありながら、宮田という学生と抜きさしならない仲になっていた九重は久乃に不思議な魅力を感じていた。

九重の下につき見習いをはじめた久乃にやがて、娼妓営業の鑑札が下り、若汐という源氏名を貰った。

 

 

 

久乃は、父親が船長をしていた船が事故をしてしまい、遺族への慰謝料を払うために遊郭に売られてしまったのだ。

吉原は東京浅草にある歓楽街で、久乃は男性に春を売る仕事をすることになってしまう。

遊郭に売られた女性は、約5年〜8年かけて身体を売り借金を返済していくのだ。

久乃が売られたのは中梅楼という遊郭で、そこの一番人気の花魁の妹分になった。

久乃はその美貌から稼ぎ頭になると見られていた。

 

 

中梅楼では、美しい着物を着て男性に身体を売っている人が大勢いた。

久乃の姉である九重にいい匂いがすると気に入ってもらった久乃であるが、最初に中梅楼での働き方についてスミに色々と教えてもらう。

そんな時、身体を合わせている時におしっこをしたとして激昂しているお客さんを発見する。

その相手をしていた菊川という花魁のお世話をしていると、めんどくさい客はそうやって切ると教えてもらう。

 

 

月日がたち、久乃は若汐という名前で女郎デビューすることになった。その準備をしている時に突然メイクルームに入ってきた男に無理やり胸を触られる。咄嗟に若汐はその人を叩き、突き放してしまう。すると別室に呼ばれ、女郎のくせにお客に向かって手をあげることは何事だと先輩の花魁に手を焼かれてしまう。しかし、襲った男性がやめろと止めに入る。先輩の花魁は若汐に嫉妬していたのだった。

 

 

若潮はデビューしたその日に、九重がお客さんに頼んで幕開けをしてくれることになる。

そして花魁トップ3と共に上客の前に姿を見せて華やかにデビューを果たした。

しかし、いざ男性の部屋に行き、相手の姿を目にした瞬間、若汐は走って逃げて出て行ってしまう。

中梅楼のスタッフは急いで若汐を追いかけるが、彼女は川に入って逃げようとする。

その時、古島という男性が助けようとしてくれた。

 

 

しかし、若汐は中梅楼の男性スタッフに捕まってしまい、戻されてしまう。

布団で巻かれ、身動きできないようにされた若汐は泣きながら許しをこう。

そこにやってきたのは、姉である九重であった。

九重のお客さんに幕開けをしてもらったのに逃げ出したことで、自分の顔に泥を塗ったのだということを伝え、若汐は泣いて謝る。

その姿をみた九重は布団の紐を全て紐き、自分も着物を脱いだ。

 

 

九重はお客の喜び肩を教えてやるといい、若汐の身体を触りはじめ、身体を重ねていく。

その後、九重は若汐の初見せの客に、自分の太客を紹介してくれたのだ。九重は花魁を卒業することを決めており、スミにもそのことを伝える。そして大学生の彼氏の元にいった。彼は花魁をやめたら結婚したいと言うのだが、九重はお客と花魁の間の約束は信じないとはっきり伝え、その申し出を断るのだった。

若汐は九重が譲ってくれた太客の元へ行き、その間に中梅楼を後にした。

若汐は無事客を喜ばせる。九重が中梅楼を去り、御職の役職についたのが吉里だった。そんなある日、若汐の元に、売られる前に付き合っていた男性が会いにくる。部屋に入ると、初めて「辛い」と言い大泣きする。彼は子供を産んでくれといい、身体を重ね合わせた。そんな時、菊川は品川に住み替えをするようスミに言われてしまう。

 

 

折角友達になった菊川と離れるのが寂しい若汐だったが、突然上玉が若汐を呼んでいると言われ、その部屋にいくことになる。若汐がその部屋に入ると、初めての客で逃げ出した時に助けてくれようとした古島だった。古島は有名な財閥の御曹司で父がなくなったことで財閥の若頭首になっていた。古島は以前若汐を助けられなかったことをずっと気に病んでいたのだった。

 

 

その頃吉里は、若汐の人気にひがんでおり、お客に対してもあたしを買いたかったらもっと派手に楽しませるよう言い、「あたしゃ惨めなのが大っ嫌いなんだよ」と吐き捨てる。若汐は古島と一夜を共にすることとなったが、彼は若汐に指一本触れず、朝までゆっくりおやすみと言う。戸惑う若汐だったが、優しい声でゆっくりおやすみと繰り返すのだった。

 

 

若汐は婦人科検診で妊娠していることが発覚した。

落ち込みながら帰っていると、その姿を吉里に見つかってしまう。吉里には堕ろすように言われ、また中絶には鬼灯の汁を使うことを教えてもらう。また、古島から50円借りてもらえないかと言う。吉里は思いを寄せている客のために必死にお金をかき集めていたのだった。その男性にいざお金を渡そうとした時、その男は吉里を捨てる。

 

 

妊娠している若汐の元に、警官がくる。以前付き合っていて、一度中梅楼でも身体を重ねた男が、造船所から50円という退勤を持ち出して女と逃げたというのだ。若汐の子供の父親はその男だったのだ。若汐は他に女がいたことに傷つき、川の中でお腹の子を堕した。川はどんどん血に染まっていくのだった。

 

 

吉里は前に帰れと行ったお客と寝ていた。そしてその客に一緒に死のうかと言う。お前とだったらいつでも死ねるよ、というお客の言葉に喜ぶ吉里は朝まで飲み明かそうと言う。若汐は中絶後に道端で倒れているところを助けられ、中梅楼で休んでいた。そして朝、吉里はお客を起こし、一緒に死のうと約束したよね、というが、お客はそんなの嘘に決まってるだろという。すると、吉里はカミソリで斬りかかる。

 

 

お客は逃げるように走り、吉里は刃物を振り回しながら「冗談だよ、芝居だよ」と言って追いかけ回す。楼内では心中だと悲鳴があがり、そのままお客は外に逃げていった。刃物を持ったまま立っている吉里は、見世物のように見られ、近くにあった金魚鉢を蹴って割る。その持ち主が怒ってしまいもみ合いになると、その刃物で相手の首を切ってしまう。

 

 

すると吉里は逆上して死んでやるよ!と叫びながら、割れた金魚鉢の破片を自分の首に突き刺すのだった。その瞬間、外は悲鳴につつまれた。吉里が死んでしまい、若汐はお墓に向かって「弱虫」と吐き捨てるのだった。吉里が亡くなってから一年たち、若汐はすっかり人気の花魁となっていた。しかしいつまで経ってっも古島は手を出してこなかった。

 

 

若汐はなぜ抱いてくれないのか、と聞く。しかし古島は反応せず、謝られてしまう。古島は何をしても反応しない身体で、実際に身体を重ねることができないのだった。他の女郎の小花が、頻繁に咳を繰り返しており、身体の調子がよくないようだ。小花は弟の大学費を稼ぐために根詰めて働いていた。しかしいよいよ血を吐いてしまう。

 

 

小花の状態を見て、スミは若汐に御職を継げるようにように頑張って欲しいこと、そして江戸から伝わる由緒正しい「紫」という名前を若汐に授けたいと言う。また、なんとしても花魁道中を復活させたいと言うのだ。そのことに心動かされる若汐だったが、小花のことも考えて、弟を探し出して、引き取り所が決まってからにしてほしいと伝える。しかし弟の居場所は一切言おうとしなかった。

 

 

小花の過去を調べてみると、母親は底辺の女郎で、相手は誰かわからず、5才の時に捨てられてしまったとのこと。しかし、14才のとき母親が突然現れて引き取り、そのまま質屋の親父に売られたのだ。実際には弟おおらず、小花は自分の惨めな過去を知られないようにずっと嘘をついていたのだった。その話を聞いて落ち込む若汐だったが、そこに菊川が現れる。菊川は結婚していて幸せそうだった。

 

紫になった若汐は、御職になっていた。するとそこに体調不良の小花がやってくる。小花は客がほしい、と騒ぎ、中梅楼の中に入っていく。そして御職の部屋に行く。しかしそこには紫の荷物があり、ここは私の部屋だと半狂乱で叫びながらカミソリを使って布団をズタボロにする。そこに紫がお客と登場する。その姿を見た小花は紫に向かって泥棒猫と叫びたてる。紫はそのことに怒りを覚える。

 

 

紫は小花のために色々と尽くしてきたつもりだったのに、家族のことも嘘ばかりだったこと、その上こんな仕打ちを受けたことに怒りを露わにする。古島は小花に御職の部屋をやって許してやれと言う。しかし紫は、自分の体で勝ち取った部屋を渡したくないと言うのだが、古島は「君はいつから心の底まで娼婦に成り下がってしまったんだ」と言う。すると紫は「そうです。娼婦ですよ、この門をくぐった日から、嘘も隠れもない娼婦ですよ」といい放ち、古島の元を去った。

 

 

そして紫は小花のいる部屋に向かう。そこには狂った小花がいた。血を吐きながら、お願いだから誰か抱いて、ここ噛んで、と叫び続けている。その姿を目の当たりにした、紫は思わず涙してしまい「今までどんな目に遭ってきたのよ」と優しく呟く。そのまま小春は息を引き取ってしまうのだった。

 

そこからまた月日は経ち、紫の元に古島はいなかった。しかし、また別のお金持ちである坪坂に気に入られ、スミからも次から次へとお金持ちに気に入られる紫は運の強い子だと絶賛する。坪坂と一緒に街を歩いていると、お客に対し暴言を吐く女性を見かける。よく見るとその人は菊川だった。結婚して幸せに暮らしているはずの菊川が底辺女郎のお屋敷にいたのだった。

 

 

菊川は、結婚したものの、旦那が他の女と浮気している現場を目撃してしまい、飛び出してきたというのだ。自分の店を持つことを夢見てまた頑張ろうと意気込んでいた。対して紫はというと、坪坂に結婚を申し込まれていた。坪坂は岡山に帰って事業をしようと考えていた。坪坂の妻は亡くなっており、そのこともすっぱり諦めると言う。その言葉に対し、紫は自分には花魁道中をする夢があると言い結婚の話は一旦断る。

 

 

場面は代わり、紫は古島に呼ばれる。久しぶりに会う2人。古島は2000円もの大金を紫に差し出す。古島は家から勘当され、手切れ金を手にしていた。そのお金を紫にあげる、自分と一緒になってほしいと言いかけた時に、紫はこのお金を花魁道中に使わせてほしいと言う。古島は君にあげるお金だから自由に使うといい、といい紫の元を再度去って行ったのだった。紫は涙を流しながら、これでいい、と何度も自分に言い聞かせた。

 

 

菊川の元に浮気相手の女性が会いにきていた。その女は旦那が病気になってしまったからお金が欲しいと言う。菊川は帰れというものの、優しい性格の為、落ち込んで帰って行く姿をみるといてもたってもいられず、引き止めて自分のお金をかき集める。「どこまで私に痛い思いさせりゃ気がすむんだよ」と一人部屋ですすり泣くのであった。

 

 

吉原では、紫による華やかな花魁道中が開催されていた。美しい着物に身をつつみ、桜が舞う中、優雅でかつ自信に溢れた様子で紫は花魁道中を行なっていた。無事花魁道中が終わると、スミや他のスタッフ一同に感謝をされていた。そこで、古島の居場所を聞き、紫は走って古島に会いに行く。紫は自分の素直な気持ちに気づき、古島の胸に飛び込みたいと思っていたのだ。

紫は菊川にここに古島がいると聞いたこと、そして彼に合わせてほしいと言う。しかし菊川は、古島はすでに可愛い子がいること、そして古川を袖に使っておいて今更会わせないと言う。その言葉にショックを受ける紫であるが、菊川はひどいことをしているのはお前だと言われる。紫は本当に愛していたのは古島であること、そしてどうしても会いたいと再度伝える。しかし菊川は追い払うのだった。

 

 

紫はショックを受けながらもその場を後にする。古島は菊川の後輩と良い関係になっていたのだった。そこからまた月日が経ち、紫は坪坂の結婚を受け入れ、中梅楼に勤めて4年で出ることになった。こんなに幸せな子はいないと中梅楼のスミも話していた。その頃古島は、まだ菊川の後輩と良い関係になっていた。年期を開けたら結婚する約束もしていたが、古島の目はいつもどこか寂しげであった。

 

 

そして楽しく2人で歌を歌っていると、アルコールの入った瓶が倒れる。それがランプの方にいくのを古島は見つめていたが、何もせずそのまま抱き続けた。その瞬間、ランプが爆発し、火が広がって行く。

知らせを聞いた紫は一人で走って吉原に向かう。

古島は日に包まれる中、彼女を抱き続けていた。

吉原一体が火の海と化し、人々は逃げ惑った。

紫は焼けて行く中梅楼を見ながら悲しみに暮れていた。

 

 

花江戸からずっと受け継がれてきた吉原の街は、もう全体が焼けてしまい、もう二度とその伝統が蘇ることはなかった。

 

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