萬屋錦之介の映画「宮本武蔵 巌流島の決斗」『宮本武蔵』シリーズ全5部作の最終作! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「宮本武蔵 巌流島の決斗」

 

 

1965年9月4日公開。

『宮本武蔵』シリーズ全5部作の最終作。

 

脚本:鈴木尚之、内田吐夢

監督:内田吐夢

 

キャスト:

  • 宮本武蔵:中村錦之助 (萬屋錦之介)
  • 佐々木小次郎:高倉健
  • 細川忠利(細川家当主):里見浩太郎 (里見浩太朗)
  • お通:入江若葉
  • 朱美:丘さとみ
  • 柳生但馬守宗矩(将軍家指南役):田村高廣
  • 林彦次郎(元吉岡道場門弟):河原崎長一郎
  • 本位田又八:木村功
  • 本阿弥光悦:千田是也
  • 岩間角兵衛(細川家家老):内田朝雄
  • 小林太郎左衛門(下関の宿屋主人):清水元
  • 厨子野耕介の女房:日高澄子
  • お杉:浪花千栄子
  • お光(角兵衛の姪):三島ゆり子
  • 三沢伊織(武蔵の弟子):金子吉延
  • 縫殿介(長岡佐渡の近習):神木真寿雄
  • 岡谷五郎次(細川家家臣):有川正治
  • 北条安房守:中村錦司
  • 酒井忠勝(幕閣):北竜二
  • 榊原康政(幕閣):高松錦之助
  • 本多忠勝(幕閣):那須伸太朗
  • 厨子野耕介(刀研ぎ師):中村是好
  • 佐助(船頭):嶋田景一郎
  • 半瓦弥次兵衛(侠客):中村時之介
  • 菰の十郎(半瓦の子分):鈴木金哉
  • 半瓦の子分:遠山金次郎
  • 秩父の熊五郎(馬喰):尾形伸之介
  • 野武士の首領:岩尾正隆
  • 宗彭沢庵:三國連太郎
  • 長岡佐渡(細川家家老):片岡千恵蔵

 

 

あらすじ:

一乗寺下り松に吉岡一門を葬った武蔵(中村錦之助)は、宿敵・佐々木小次郎(高倉健)との再会を約して、再び修業の旅に出た。

その冬、武蔵は生活力のたくましい童子・伊織(金子吉延)を知り、その厳しい生活態度にうたれて、伊織と共に鍬を持ち、荒地に挑んだ。

やがて、武蔵の苦労がみのり二俵の米を得た秋、野盗が村を襲った。

武蔵の怒りの剣はうなり、野盗は撃退された。

農作期も終り、伊織を連れて江戸へ出た武蔵は、計らずも立ち寄った研師・厨子野耕介(中村是好)の家で小次郎の愛刀・物干竿を見た。

小次郎は、細川藩家老・岩間角兵衛(内田朝雄)に見出され、細川家の指南役にかかえられていたのだ。

一方、宿に旅装を解いた武蔵は、彼の腕前にホレこんだ博喰・熊五郎(尾形伸之介)の世話でのどかな日を送っていた。

ある日小次郎から居所をつきとめたお杉(浪花千栄子)が町奴・半瓦弥次兵衛(中村時之介)らを連れて乗りこんできた。

だが、この騒ぎも、折しも武蔵を迎えにきた将軍家指南役・北条安房守(中村錦司)の駕篭で難を逃れ、安房守の屋敷に入った。

武蔵はそこで柳生但馬守(田村高廣)と沢庵(三國連太郎)に会った。

沢庵は柳生の庄で石舟斎の看病をするお通(入江若葉)も呼び、武蔵に将軍家指南として身をたてることを勧めた。

だが、閣老会議は、武蔵が一乗寺下り松の戦いで年端もゆかぬ吉岡源三郎を斬ったことを理由に、これを却下した。

数日後、武蔵は小次郎からの果し状を受け取った。

決闘の場は豊前小倉。

武蔵は伊織と佐渡宛の別れの書状を沢庵に渡すと京を後にした。

一方、お通も沢庵から武蔵の消息を聞き、武蔵の後を追って小倉に向かった。

そして途中、又八(木村功)、朱実(丘さとみ)、さらにお杉にも再会した。

今ではお杉も、お通への誤解を解き自らの非を詑びるようになっていた。

その頃、武蔵は巌流島で小次郎と相対していた。

小次郎の物干竿が一せんした。

だが、それよりも一瞬速く、武蔵の剣は小次郎を倒していた。

うつ伏した小次郎を見下す武蔵の姿は凄まじいばかりの静けさをたたえていた。

 

シリウス気ままCH

 

コメント:

 

宮本武蔵シリーズ最終作。

剣の道に生き、それ以外の生き方を選べなかった宮本武蔵の、最後にして最大の敵佐々木小次郎との闘いを描いたシリーズの集大成となっている。

これまでの第4作までのダイジェスト映像も流される。


一乗寺下り松の闘いで幼い源次郎を殺めてしまった武蔵が、道中で伊織と名乗る童子に出会い、両親を亡くしてしまった彼と共に百姓の身として生活することになるのは、何とも運命の不思議を感じる。
シリーズの中では最も人の縁を感じさせる作品で、まるで嵐の前の静けさのようなラストに向けて集中力を高めていくような内容である。
果たして剣の道を極める旅の先に何が待っているのか。


お通、又八、朱美、おばばの物語も納得の行くような形で決着し、後は武蔵と小次郎の因縁の対決を残すだけだ。
今まで武蔵が闘いの場にいつも遅れて登場するのも、この闘いのための長い前振りだったようにも感じる。

 


浜辺に打ち捨てられた船の櫂を拾って、刀身のように削り、小次郎の三尺の刀に供える武蔵の姿に、改めて戦術においても秀でた才能を持っていたことが分かる。
刀を抜き鞘を捨てた小次郎に対する「小次郎敗れたり」の言葉はあまりにも有名。


清十郎や伝七郎等と同じく勝負は一瞬にしてつく。
刺客から逃れられるように、あえて引き潮を選んで浜辺に乗り付けた武蔵の戦略はさすが。
一生に一度会えるかどうか分からない最大の敵を、ついに破ってしまった武蔵。
自分で殺しておきながらだが、もう二度と会うことが出来ない事実に愕然とする。
これまで剣を極めるために修行を続けてきたが、残ったものは空虚だけだった。


闘いの前にお通が「無情なのは剣ではなく、あなたの心です。あなたの手は血で汚れてしまっているのに、どうしてまた闘いの場に行くのですか」と武蔵を問い詰めるシーンがある。

だが、今自分の手を見つめ小次郎の血で汚れてしまっているのを見た武蔵は、最後に「剣はただの武器だ」と空しい言葉を放ち舟に揺られながら巌流島を後にする。
天下一の剣豪ならではのラストにふさわしいシーンである。

 

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