松坂慶子の映画 「るにん」 八丈島に流された美しい元花魁を松坂慶子が熱演! 奥田瑛二の監督作品! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「るにん」

 

 

「るにん」 プレビュー

 

2006年1月14日公開。

八丈島に流された美しい元・花魁を松坂慶子が熱演。

R-15指定。

 

脚本:成島出

監督:奥田瑛二

出演者:

松坂慶子 、 西島千博 、 小沢まゆ 、 麻里也 、 ひかる、 島田雅彦 、 玄海竜二 、 金山一彦 、 なすび 、 濱本康輔

 

あらすじ:

『鳥も通わぬ』と謳われた孤島「八丈島」に、島流しにされた男女が棲息していた。
江戸・吉原に火付けをした罪で流人となった花魁・豊菊(松坂慶子)は、島役人・稲葉重三郎(根津甚八)に流人仲間の罪を密告し、男たちに体を売って生き延びてきた。
それもただひたすら“御赦免状”を貰い、再び江戸へ帰るためだ。
しかし、待てど暮らせど御赦免状は届かない。
稲葉が自分の体をただ弄んでいたことを知ると、豊菊は稲葉の股間を刀で斬り付けた。
稲葉の怒りを買った豊菊は、折檻を受ける。
心身共にボロボロになった豊菊を介抱したのは、博打の罪で流人となった新人の喜三郎(西島干博)だ。
豊菊が嘆き悲しむ姿を見て、喜三郎は優しく抱擁しながら、江戸へ連れて行ってやることを誓う。
翌日から喜三郎は海を見渡せる崖に座り、潮の流れを観察する。
八丈島の風土・文化を研究している元・武士の流人・近藤富蔵によると、7月になれば無潮の海を舟で抜けられる時があるという。
そんな喜三郎の企みを察して、豊菊同様、吉原の火付けの罪で流人となった花鳥(麻里也)がすり寄ってきた。
色仕掛けで喜三郎に迫る花烏だが、豊菊を愛する喜三郎は毅然と突っぱねる。
男たちの慰め者であり、自分より遙かに年を得た豊菊に女として負けたと自暴自棄になった花鳥は、島の男たちをけしかけて“抜け舟”を決行する。
だが役人に見つかって連れ戻され、“ぶっころがし”の刑に処される。
命を張って江戸へ戻ろうとした花鳥の姿を見て、豊菊は遂に抜け舟を決意する。
豊菊、喜三郎たちを乗せた和船は八丈島を静かに離れ、困難の末に江戸へ帰還する。
仲間たちと別れ、花鳥の両親に花鳥の最期を伝えに行く豊菊と喜三郎だが、奉行所に通報され逃亡する。
豊菊を逃がそうとして殺された喜三郎の後を追うように、豊菊は捕えられ、斬首刑となるのだった。
 
 
コメント:
 
俳優・奥田瑛二の第2作目の監督作品。
実際に流罪地として使用されていた、江戸時代における八丈島。
江戸時代末期、幕府によって1862人が流罪となって島流しになった八丈島にまつわる史実を元に映画化したという。

吉原に火付けをした罪で流人となり、島で生き延びるために男たちに体を売ってきた花魁・豊菊に松阪慶子。
崩れた色香の妖艶さが際立つ女性を演じる。
豊菊はいつか江戸へ帰れる日を夢見続けている。

博打の罪で流人となった喜三郎に扮するのが、バレエダンサーの西島千博。
今でも現役のバレエダンサーで、妻は女優の真矢ミキ。
なぜこの人が本作に出演したのかは不明だ。



豊菊に惹かれるなにかを感じた喜三郎は、「俺が江戸に帰してやる」と誓う。
喜三郎は、潮と風を見続けて、ついにある日、不可能といわれた島抜けに挑む。
命を賭けた、愛の勝利の結末は、近松の心中ものを思わせる。
ラストの松坂慶子は、なぜか安堵の表情を浮かべていた。
 
一糸まとわぬ完全ヌードを披露している松坂慶子の肢体が美しい。
映画のストーリー上必要ならば、どんな姿でもしっかり演じ切ることが出来る女優になったのだ。
この人の女優魂には脱帽する。
どこかのお姫様女優とは違うのだ。
 
彼らの前歴はほとんど明らかにされない。
松坂慶子演じる豊菊は吉原の遊郭に放火をした、西島千博演じる喜三郎は博打で身を持ち崩した、としか紹介されない。
そのせいか、流された先でも身体を売ることで生業を立てている豊菊に対して、嫌悪の気持ちが全く湧いてこない。



 「こんなところで死にたくないよ!」と絶叫していた豊菊が、自分の人生の終わりに臨んで、あんなに安らかな顔ができたこと、それこそがこの映画の眼目だったのだろう。
 
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