「バトル・ロワイアル」
2000年12月16日公開。
深作欣二監督のヒット作。
興行収入:31.1億円(2001年度の邦画興行収入ランキング第3位)。
第43回ブルーリボン賞作品賞受賞。
同新人賞受賞(藤原竜也)。
R-15指定。
キャッチコピー:『ねえ、友達殺したことある?』
監督・脚本:深作欣二
出演者:
藤原竜也、前田亜季、山本太郎、栗山千明、柴咲コウ、小谷幸弘 、安藤政信、ビートたけし
あらすじ:
新世紀の初め、ひとつの国が崩壊した。
自信を失くし子供たちを恐れた大人たちは、やがてある法案を可決、施行する。
それが、新世紀教育改革法、通称“BR法”だ。
年に一度、全国の中学校の中から1クラスが選ばれ、コンピュータ管理された脱出不可能な無人島で、制限時間の3日の間に最後のひとりになるまで殺し合いをする法律である。
そして、今回それに選ばれたのは岩城学園中学3年B組の生徒たちだった。
元担任・キタノ(ビートたけし)の指導の下、食料と武器がそれぞれに渡されゲームが開始。
極限状態に追い込まれた生徒たちは、様々な行動に出る。
昨日までの友人を殺害する者、諦めて愛する人と死を選ぶ者、力を合わせて事態を回避しようとする者。
そんな中、生徒のひとりである七原秋也(藤原竜也)は、同じ孤児院で育った親友・国信慶時(小谷幸弘)がほのかな想いを寄せていた中川典子(前田亜季)を守る為、武器を取ることを決意。
当て馬としてゲームに参加した転校生の川田(山本太郎)と共に島から脱出しようとする。
そして、3日目。
生き残った七原と中川は、キタノを倒し島からの脱出に成功する。
だが、法律を破り指名手配犯となったふたりには、なおも走り続けなければならない運命が待っていた。
コメント:
中学生同士が殺し合いをするという原作の内容から、青少年への悪影響を危惧され、また上映開始年となった2000年は西鉄バスジャック事件を初めとする少年犯罪が社会的注目を集めている時期でもあったことから、当時の衆議院議員の石井紘基が中心となりこの映画の規制を求める運動が行われた。
石井は2000年11月17日、国会(第150回国会文教委員会)で大島理森文部大臣にこの映画に対する政府の見解を求める質疑を行った。
これがマスコミに取り上げられることになり社会の関心を集めた。報道によって逆に話題を呼び、興行収入31.1億円の大ヒット作となった(2001年度の邦画興行収入ランキング第3位)。
令和の日本にはない勢いと熱量が感じられる。
近年の韓国映画にも通じる高揚感だ。
脚本的に薄っぺらさを感じる所もあるが、問題ない。
痛快なバイオレンス表現だ。
圧倒的な存在感の柴咲コウが良い。
生に対する貪欲な姿勢と目力が大変印象的だ。
つかみどころなく感情のない不気味なビートたけしの存在感にやられた。
ハッカーと、爆弾を作る3人組男子の活躍は希望があり良かった。
灯台で、青酸カリの混入から壮絶な撃ち合いをする女子5人組も、痛快でよい。
この映画『バトル・ロワイアル』は、西洋の批評家から高い評価を受けた。
米国の大手映画評価サイトRotten Tomatoesでは43件のレビューに基づき、86%の評価を得た。
同サイトのコンセンサスは、「バトル・ロワイアルは思春期の論争で暴走的な寓話であり、十代のメロドラマを生死の賭けにより高めている」と述べている。
米国エンターテイメント産業専門の業界紙『バラエティ』のロバート・ケーラーは、「最も基本的なキャラクターもいれば、大部分の10代のキャストが恐ろしい欲求を持って攻撃する。藤原は、忠実に内面的な道徳的葛藤の声を喚起している。プロデュースは非常にハンサムで活発。深作が減速しているという兆候はない。」とコメント。
更に彼は、「日本の暴力映画の巨匠としての地位に復帰した深作欣二は、彼の最も凶悪でタイムリーな映画のひとつを「青年の暴力に対する怒り」と比較している」と述べ、1970年代前半にイギリスで生まれたスタンリー・キューブリックの『時計じかけのオレンジ』の「70年代の血で乱れた暴力映画の最も驚くべき場面」をフィーチャーした」としている。
BBCニュースのジェイソン・コルスナーは5つ星中4つ星を与え、「私たちに規律、チームワーク、決断という価値ある教訓を教えてくれるが、故意に挑発的で驚くほど暴力的なパッケージを包み込んでいる。」とコメント。
BBCのユーザーは5つ星中5つ星を与えた。
BBCのアルマー・ハフリーダソンも5つ星を与えた.。
映画批評家のキム・ニューマンは『エンパイア』のレビューの中で、5つ星中4つ星を与えた。
彼は映画を「同じ状況で何をするだろう」と観客に考えさせる『蠅の王』の手法と比較したが、『バトル・ロワイアル』は「学校制服のキャラクターにとって更に厳しい選択肢」を与えられているとコメント。
続けて「何人かは不快感を覚えるが、ユーモアと恐怖の混在は不安だが、これは簡単に忘れる映画ではない。真剣に、あなたは何をしますか?と問いかけている」。
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