「ゴースト・イン・ザ・シェル」
(原題:Ghost in the Shell)
2017年4月7日日本公開。
士郎正宗の 『攻殻機動隊』をハリウッドが実写映画化。
世界興行収入: $169,801,921。
原案:士郎正宗 『攻殻機動隊』
脚本:ジェイミー・モス、 ウィリアム・ウィーラー、 アーレン・クルーガー
監督:ルパート・サンダース
キャスト:
- ミラ・キリアン少佐 / 草薙素子 - スカーレット・ヨハンソン(田中敦子)
- バトー軍曹 - ピルー・アスベック(大塚明夫)
- 荒巻大輔大佐 - ビートたけし
- オウレイ博士 - ジュリエット・ビノシュ(山像かおり)
- クゼ - マイケル・カルメン・ピット(小山力也)
- トグサ中尉 - チン・ハン(山寺宏一)
- ラドリヤ - ダヌーシャ・サマル(山賀晴代)
- イシカワ - ラザルス・ラトゥーエル(仲野裕)
- サイトー - 泉原豊
- ボーマ - タワンダ・マニーモ
- カッター - ピーター・フェルディナンド(てらそままさき)
- ダーリン博士 - アナマリア・マリンカ(加納千秋)
- リー - ダニエル・ヘンシャル(坂詰貴之)
- ダイヤモンド - カイ・ファン・リエック(加藤ルイ)
- ハイリ(素子の母親) - 桃井かおり(大西多摩恵)
- モトコ(素子) - 山本花織(内野恵理子)
- ヒデオ - アンドリュー・モリス(今村一誌洋)
- リア - アジョワ・アボアー(柳瀬英理子)
- 大統領 - クリス・オビ(乃村健次)
- 芸者ロボット - 福島リラ(福島リラ)
- トニー - ピート・テオ(蜂須賀智隆)
- オズモンド博士 - マイケル・ウィンコット(クレジットなし)(広田みのる)
あらすじ:
世界でただ一人、脳以外は全身義体の世界最強の少佐(スカーレット・ヨハンソン)。
彼女が率いるエリート捜査組織公安9課は、ハンカ・ロボティックスの推し進めるサイバー・テクノロジーを狙うサイバーテロ組織と対峙する。
しかし、捜査を進めるうちに事件は少佐の脳に僅かに残された過去の記憶へと繋がり、彼女の隠された過去を呼び覚ますのだった。
「私は誰だったのか……」。
次第に彼女は、自分の記憶が何者かによって操作されていたことに気付く。
やがて、真の自分の記憶を取り戻していく少佐は、自身の驚くべき過去と向き合うことになる。
やがて、彼女の存在をも揺るがす衝撃の展開へと発展していく……。
コメント:
この作品は、とにかく原作の士郎正宗の 『攻殻機動隊』がすごい。
緻密に最先端の知識が描かれている、予言の書のようなもの。
これを原作とする劇場用アニメ映画がすでに1995年に公開され、またテレビアニメ作品が2002年に公開されている。
本作はハリウッドで製作された実写版で、主役のサイボーグをスカーレットヨハンソンが演じている。
ヒロインのスカーレットヨハンソンの光学迷彩スーツ。
おばさんのダッチワイフのように見える。
士郎正宗のエロ好きのせいでほぼ裸になるのだが、脱ぐなら脱ぐ、脱がないなら脱がない、はっきりとさせても良かった。
裸である必然性はまったくない。
2008年にドリームワークスとスティーヴン・スピルバーグが映画化権を取得。
脚本はジェイミー・モスが担当するとされたが、2009年にレータ・カログリディスに変更された。
その後、しばらく続報は無かったが、2014年になってウィリアム・ウィーラーが脚本、ルパート・サンダースが監督を務めると発表された。
2015年にはジョナサン・ハーマンが新たに脚本を引き継いだ。
最終的にはモスとハーマンが脚本にクレジットされた。
アメリカでは当初、ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズが2017年4月14日に配給を予定していた。
しかし、ドリームワークスとディズニーの提携終了に伴い、公開日を3月31日に改めたうえでパラマウント映画に配給が変更された。
2016年11月13日には、日本での劇場公開開始日が2017年4月に決定したことや最新版トレーラー映像が公開され、東京都内で開催されたエクスクルーシブイベントにヨハンソン、荒巻大輔役の北野武、監督のサンダースが登壇した。
少佐役のヨハンソンは、オファーを受けるまで映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』のことを知らず、実際に観てかなり恐ろしいと感じたが、同時にすごく魅力も感じたという。
また、荒巻大輔役の北野(ビートたけし)には敬意をもって接し、彼の撮影時には日本語カンペを持ってあげていたという。
映画制作中、西洋世界のソーシャルメディア上で、アジア人キャラクターの草薙素子役に白人女性のスカーレット・ヨハンソンをキャスティングしていることに対し、激しい議論が起こり、人種的不適当、非白人の役を白人が演じるホワイトウォッシングであるという批判が起こった。
日本では、多くの人がハリウッド映画では白人が主役を演じるだろうと考えており、西洋での激しい議論は驚きをもって迎えられた。
一方、在米日本人・日系アメリカ人など、ハリウッド事情を知る立場からは、多くがホワイトウォッシングの人種差別性に批判的である。
押井守はインタビューで、ヨハンソンの起用は「考えられる最良のキャスティング」であり、そもそも少佐の体も「草薙素子」という名前も生まれつきのものではなく、たとえ少佐がもともと日本人であったとしても、アジア人の女性が演じなければいけないという主張に根拠はない。
違う人種の役を演じるのは映画界の慣習であると答えた。
しかしながら、このヨハンソン擁護と矛盾して、過去の押井発言、士郎正宗の原作設定では、肉体に依存する草薙素子のアイデンティティを以下のように明かしている。
「素子って、実体は脳みそのレベルで実在するんだよ。「ネットと融合した」とかさ「身体を失くした」とかさ「身体のない女」とかみんな平気で言ってるけどさ」。
「攻殻機動隊は草薙素子が肉体から解き放たれた話ではなく、(略) オリジナルの脳に対する依存度は持続している」。
「当物語世界では、自分の若かった頃の姿に似せた義体を好む実年層や、年齢相応の自然な義体を好むのが一般的であるとしておく」。
義足とか義肢はあるが義体とは。
その発想に驚く。
人間の脳を移植して戦士に仕立て上げる一企業の野望。
市街地はブレードランナーの市街地のようにやたら屋外広告が多くてうるさい。暗い未来も同じ。
偽の記憶を埋め込まれたり、機械の進化により人間と機械の境界が曖昧になり、人間のアイデンティティーさえも見失われている世の中は怖い。
いつかAI時代が来ると同じような世界が起きるのでは無いだろうか。
ビートたけし、桃井かおりが出演している。
ビートたけしはたけし映画の主役のようにかっこいい場面が最後にあり、出演者として立ててくれている。
桃井かおりは主人公の母親の役であるが、桃井調がちょっとにやけて見える。
外国人に桃井調が伝わらないのでは無いだろうか。
だが存在感はあり、英語も完ぺきだ。
桃井かおりは、主人公・素子の母親であるハイリを演じている。
自分でしっかり英語のセリフをこなしている。
もうこの頃になると、ハリウッド映画での日本人中年女性役には彼女が出演することが当たり前のようになっている。
ハリウッドでしっかり彼女の立ち位置が定着してきているのだ。
それまでの苦難の道は険しかっただろう。
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