三國連太郎の映画 「三たびの海峡」吉川英治文学新人賞受賞の日韓問題を扱った原作を映画化! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「三たびの海峡」

 

 

「三たびの海峡」 予告編

 

1995年11月11日公開。

吉川英治文学新人賞受賞の、日韓問題を扱った原作を映画化。

日本アカデミー賞最優秀男優賞受賞。

 

原作:帚木 蓬生(ははきぎ ほうせい)『三たびの海峡』(1992年、第14回吉川英治文学新人賞受賞)

脚本:加藤正人、 神山征二郎 

監督:神山征二郎 

ナレーター:山本圭

出演者:

三國連太郎、南野陽子、永島敏行、隆大介、白竜、李鐘浩、草薙幸二郎、樋浦勉、安藤一夫、伊佐山ひろ子、風間杜夫、樹木希林、泉ピン子、岩城滉一、林隆三

 

 

あらすじ:

韓国・釜山。

70歳の河時根(三國連太郎)の元へ、戦時中ともに徴用で連行された在日韓国人の同胞・徐鎮徹(風間杜夫)が訪ねて来た。

日本のことを一切断ち切っていた河の脳裏に、50年前の過去が蘇ってくる。

太平洋戦争末期、若き河は北九州の小さな炭坑に連行され、朝鮮人を人間と思わず牛馬のようにこき使う日本人の労務監督・山本三次(隆大介)の下で地獄のような日々を過ごした。

脱走を謀る者へは凄まじいリンチが加えられ、労働争議を起こした金などは自殺に追い込まれた。

河はついに脱走を決意し、見回り労務を殺して逃走。

アリラン集落に匿われ、そこからさらに飯場に送り込まれて追手から逃げ切った。

そこで働き始めた河は、若い戦争未亡人の日本人・千鶴(南野陽子)と秘かな恋におちる。

やがて日本は敗戦を迎え、徴用で連行された朝鮮人たちも解放された。

河が未払いの給料を炭坑に受け取りに行くと、あの山本は以前とはうって変わった態度で手続きを助けるのだった。

折しも千鶴は河の子供を身ごもっており、河は千鶴とお腹の子供を連れて海峡を渡り故郷・韓国へ戻ることになる。

故郷の慶尚北道の小さな村では、日本人女性を連れた河は村八分にされるが、村外れの小屋にやっかいになって千鶴は男の子を出産した。

そんなささやかな幸せも束の間、千鶴は置き手紙を残し、子供を連れて日本へ帰ってしまう。

以来河は日本のことを忘れ今日まで過ごしてきたが、不治の病に侵された今、さまざまな思いを込めてもう一度日本を訪れる決心をした。

日本に来た河はかつての軍属や同胞を訪ね回り、かつての炭坑の側で眠る仲間たちの墓を訪れる。

あの山本は、今はこの土地の市長となって再選の選挙に臨んでいた。

河はまた今は亡き千鶴ともうけた息子・佐藤時郎(林隆三)と対面し、時郎の許しを得て彼の家族とも引き合わせてもらう。

時郎の家族からも暖かく迎えられた河は、次に山本と会おうとした。

半ば脅迫して山本を呼び出した河は、炭坑の側の墓へ彼を連れていき、墓に謝ってくれと叫ぶ。

だが山本は昔は昔だと取り合わず、河に対して金まで用意していた。

河と山本は揉み合いになり、弾みで河は山本を殺してしまう。

そして、河もまた病のために力尽きるのだった。

それは河にとって50年目の戦争だった。

 

 

コメント:

 

原作は、1992年、第14回吉川英治文学新人賞受賞を受賞した帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)の『三たびの海峡』。

朝鮮人強制徴用問題を扱った作品。

 

 

三国連太郎が炭鉱に強制連行された韓国人を演じて、日本アカデミー賞最優秀男優賞を受賞した作品。

過去と深く向かい合う韓国人という難しい役を見事に演じ切って、韓国人の宿命を描いている。

最初は強制されて、2度目は妻と共に、そして3度目は……。

ある決意を胸に海峡をわたり命を賭けた男の半生を描く。

 

 

この人物は、戦時中に日本人にこき使われさんざんな目に遭うが、戦後は事業に成功して、日本に同胞の墓を建てようとする実業家として三度目の来日を果たす。

こんなに悲しい人生があるだろうか。

日本が韓国と韓国人にどれほど苦しみを与えていたのか、この映画は厳しくその罪を告発している。
韓国が問題提起し続ける強制徴用工問題の根本が伝わってくる。

 

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