「裸足の伯爵夫人」
1954年11月11日日本公開。
ハンフリー・ボガートとエヴァ・ガードナーが出演するイタリアを舞台にした作品。
受賞歴:
1954年 第27回 アカデミー賞 助演男優賞(エドモンド・オブライエン)
1955年 第12回 ゴールデングローブ 助演男優賞(エドモンド・オブライエン)
監督・脚本:ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ
出演者:
ハンフリー・ボガート 、 エヴァ・ガードナー 、 ロッサノ・ブラッツィ 、 エドモンド・オブライエン 、 ヴァレンティナ・コルテーゼ 、 ベッシー・ラヴ
あらすじ:
有名な映画女優でかつ伯爵夫人の葬儀が北イタリアのラパロ近くの墓地で取り行われた。
参列した映画監督・ハリー・ドーズ(ハンフリー・ボガート)が、彼女の数奇な生涯を回想する。
ー―3年前、不調でくさっていたハリーは、映画製作にのり出したテキサスの大地主カーク・エドワーズに雇われて新作の脚本監督をすることになり、カークや宣伝担当のオスカー(エドモンド・オブライエン)などとともにヨーロッパへスター探しに出た。
マドリッドの小さなキャバレーで踊っていたマリア・ヴァルガス(エヴァ・ガードナー)が彼らの目に止まり、マリア・ダマタと名づけられ、早速第1作の撮影が始められた。
処女作は成功だった。
その直後、マリアの父が母を殺す事件が起こり、カークやオスカーはマリアにはこの事件を伏せておこうとしたが、そのときマリアはすでに父の弁護のためマドリッドへ向かっていた。
証人台に立ったマリアは母の非行をつつまず語り、父の正当防衛は立証された。
世界中がこの彼女の態度に好意を寄せ、彼女が法廷を去るときはもう世界的な大スターになっていた。
続く2作品はいっそうの成功を収め、ハリーとマリアの名は世界にとどろいた。
だが二人の間は深い友情のままでとどまっていた。
ビヴァリー・ヒルズのマリア邸で催されたパーティで、主賓の南米の億万長者アルフベルト・ブラヴィーノがマリアに食指を動かし、、リヴィエラで彼が催すヨット・パーティに彼女を招待した。
マリアはここでヴィンチェンツォ・トルラト・ファブリニ伯爵(ロッサノ・ブラッツィ)と知り合った。
すでに伯爵は、リヴィエラへ来る途中のマリアが、途中ジプシーの群れに混って奔放に踊っているところを見ていたのだった。
マリアは伯爵邸に滞在し、ついに結婚した。
近くの村へロケーションに来ていたハリーはこの結婚に反対だった。
数カ月後、マリアがハリーのホテルを訪れ、結婚式の夜の出来ごとを告白した。
寝室を訪れた伯爵は、戦傷によって不具となった診断書を彼女に見せたのだった。
しかも、マリアは今妊娠していると言い残して帰っていった。
不安を感じたハリーが後を追って伯爵邸へ行くと、2発の銃声が聞こえた。
そして奥の方からマリアの死体を抱えた伯爵が現れ、不義者は両方とも成敗したと告げた。
ー―回想が終わる頃、葬儀も終わった。
伯爵は墓場から警察へ引かれていった。
コメント:
ジョセフ・L・マンキーウィッツ監督が回想形式で綴る映画界の内幕物語。
オリジナルは、131分。
底辺から一流女優になる女性をエヴァ・ガードナーが演じて、彼女を見出した映画監督兼脚本家をハンフリー・ボガートが演じる。
カラー映画なので、エヴァ・ガードナーの美しさが際立っている。
マンキーウィッツ監督は映画『イヴの総て』で演劇界の内幕を描いたが、こちらは映画界の話。
本作は、ある葬儀場面から始まるが、それは有名女優だった女性が伯爵夫人となって亡くなった葬儀だった。
亡くなったのはマリア・バーガス(エヴァ・ガードナー)。
雨の葬儀はこじんまりと行われ、そこには映画監督ハリー・ドーズ(ハンフリー・ボガート)もいる。
ここから回想シーンになるのだが、回想する人が途中で次々と切り替わるので「アレッ」と思う。
マドリードのキャバレーで踊っていたマリアを見つけた映画製作者とハリーは彼女をローマに連れていって映画を撮り、マリアはハリウッド・スターとなる。これだけで、いろんな国を転々とするので、よ~く観ていないと物語に置いてけぼりにされてしまう。
なかなか複雑な展開を見せるので面白い。
煌びやかな女優の雰囲気、最後の貴族らしき伯爵夫人の姿のエヴァ・ガードナーの色とりどりの服を見ているだけでも美しい。
ハンフリー・ボガートが出演していながらも、物語の中心人物ではなく、回想する立場にあるという珍しい作品。
我らがボギーは相変わらずダンディでカッコいいが、エヴァ・ガートナーと恋仲になる場面はない。
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