藤純子の映画 緋牡丹博徒シリーズ 第7作 「緋牡丹博徒 お命戴きます」  上州を舞台に大活躍! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「緋牡丹博徒 お命戴きます」

 

 

「緋牡丹博徒 お命戴きます」 予告編

 

1971年6月1日公開。

緋牡丹博徒シリーズ第7作。

 

脚本:大和久守正 、 鈴木則文 、 加藤泰 

監督:加藤泰

出演者:

藤純子 、 嵐寛寿郎 、若山富三郎 、 大木実 、河津清三郎 、 待田京介 、 内田朝雄 、 小松方正 、諸角啓二郎 、 上岡紀美子 、 沢淑子 、沼田曜一 、 汐路章 、石山健二郎 、鶴田浩二


あらすじ:

九州熊本の矢野組々長矢野竜子こと緋牡丹のお竜(藤純子)。
渡世修業の旅の途中、上州伊香保の久保田組の賭場で胴をつとめる親分の実弟・猪之助(沼田曜一)のイカサマの一件で危機に直面したが、武州熊谷結城組々長・結城菊太郎(鶴田浩二)によって難をまぬがれた。
そして、両家の手打ちは、大前田の二代目英次郎(嵐寛寿郎)の仲裁で行われ猪之助は破門された。
しばらくして、お竜は父の法要のため、一時九州に帰る事になったが、高崎観音建造の勧進賭博の日までに再び来る事を約して結城と別れた。
お竜は、結城に渡世の付き合い以上の想いを寄せ始めていたのだった。
その頃、熊谷在に軍部御用の兵器工場ができ、周辺の百姓はその公害のために苦しんでいた。
結城は、百姓の暴動を未然に防ごうと、工場に交渉して用水堀造成のため保障金を出させようとした。
この工場の運搬関係の仕事を仕切っていた富岡組々長は、何かと反目する結城を消そうと計った。
富岡(河津清三郎)は、工場長の大村(内田朝雄)や軍の監督官畑中大尉(小松方正)と結託、工場本社から出ていた保障金を着服していたのだった。
富岡は、言葉巧みに猪之助をあやつり結城を殺した。
百姓に対する圧力は激しさを加え、急を聞いてかけつけたお竜は、陸軍大臣に直訴すべく料亭の席にまで押しかけるのだが、そこで偶然にも熊坂虎吉(若山富三郎)と同席していた陸軍大臣(石山健二郎)に現状を直訴した。
お竜の働きで悪業の露見を恐れた富岡と畑中は、結城の三代目を襲名した貞次(名和宏)を殺し、罪を彼一人に被せようとした。
菊太郎の初七日の日--。
寺の本堂一杯の百姓衆に大村の横領を吹聴している富岡、畑中へ黒い喪服に仕込み笛を抱いたお竜が乗り込んだ。
 

コメント:
 
今回は上州伊香保で、お約束の賭場でのイカサマ破り。
相手は久保組の沼田曜一。
彼は一作目でもイカサマをしていた。ここで当然悶着が起きる。
この場を収めたのが、結城菊太郎(鶴田浩二)なる渡世人。
久保組との手打ちは、大前田の親分(嵐寛寿郎)が立ち会う。
 

その後、結城の地元・熊谷では軍需工場が出来て、廃液と煙で周辺の農民が被害に遭っていた。
結城は暴動に走りがちな農民たちを鎮める為に、工場側に補償を求める。
ところが富岡組の親分(河津清三郎)は工場長(内田朝雄)や軍の畑中中尉(大木実)と結託し、結城を潰しにかかるのだ。
補償に応じると騙し、結城を亡き者にする。

事情を知つたお竜は、この問題を陸軍大臣(石山健二郎)に直訴せんと乗り込むが、何とそこには熊虎親分(若山富三郎)がいた。こ
の陸軍大臣、どんな強面かと思いきや、熊虎の上を行く喜劇的人物だ。
この会見に危機感を持つた富岡は、結城の後釜に据えた傀儡の貞次(名和宏)に全ての責任を押し付け、これを殺し死人に口なしとした。
怒りに燃えるお竜、さあ富岡一家に殴り込みだ!
 
 
冒頭、霧の煙る中、船から降りるお竜、それを襲う暴漢、続いての泥の中の格闘。
頭が切れても気にしないローアングル、アップの多用。
すごい力で観客を惹きつける。
もうこの冒頭シーケンスだけで加藤泰監督だと分かる。
 
「花札勝負」「お竜参上」に比べると、語られることの少ない本作だが、前二作にも劣らない傑作である。
前に邪魔物を置いて、その向こうで役者に芝居をさせるという構図は、増村保造や深作欣二に通じるものがあり、画面をいかに埋めるかが絵を引き締めるポイントなのではないか。
最後の殺陣は、結構長くカットを割らずに撮っていて、それだけにその臨場感は素晴らしい。
それに食らいついていった藤純子も素晴らしい。
 
河津清三郎を追い詰めるシーンでは、カメラの前に流れる黒い排水を置いて、最後河津が死んでその水に突っ伏す。
そうすると、川の水が黒から赤に変わる。
このあたりもしびれる。
お竜の殺人を見ていた坊やが駆け寄り、それにお竜が「違うばい」と拒絶するところはやるせない。
 
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