山本富士子の映画 「美貌に罪あり」 若尾文子、杉村春子との共演による女性の運命を描く名作! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「美貌に罪あり」

 

 

 

「美貌に罪あり」 予告編

 

1959年8月12日公開。

舞踊家とスチュワーデスに転身した美人姉妹の物語。

 

原作:川口松太郎 

脚本:田中澄江 

監督:増村保造 

出演者:

山本富士子、若尾文子 、 杉村春子 、 川口浩 、 野添ひとみ 、 川崎敬三 、藤巻公義(藤巻潤) 、 潮万太郎 、 村田知栄子  、 勝新太郎

 


あらすじ:

東京近郊にある蘭作りでは名の通った吉野庭園の女主人・ふさ(杉村春子)は、二度の結婚とも夫に先立たれ、父の違う二人の娘を育ててきた。
長女の菊江(山本富士子)は農園の生活をきらい、女流舞踊家になろうと家を出た。
妹の敬子(若尾文子)も、そんな姉に反発を感じながらも単調な田園生活に焦燥をおぼえた。
若い農夫の忠夫(川口浩)は、その敬子を愛していた。
忠夫には妹・かおる(野添ひとみ)があった。
彼女は生れつき口が不自由で聾唖学校に通っているが、蘭作りの名人・隣の農場の息子・周作(川崎敬三)を慕っていた。
若手舞踊家・藤川勘蔵(勝新太郎)の内弟子となった菊江は、上達も早く勘蔵の期待と愛情をうけた。
ところが勘蔵の後援者・料亭粂川の女将・おくめ(村田知栄子)は、自分と娘と勘蔵を一緒にさせたいばかりに、家を出て行けと言った。
菊江を愛する勘蔵はアパートに移った。
心を痛めた菊江は自分名義になっている吉野庭園を売って師匠の家を買い取ろうと、ふさに相談したが、ふさと敬子の猛反対にあった。
菊江は前からあった周作との縁談を断り、勘蔵と世帯を持ったが、生活は苦しくパーティのアトラクションに出たりした。
一方、敬子は、秘かに受けた日東航空のスチュワーデス試験に合格、忠夫の愛を振り切って家を飛び出した。
忠夫が羽田空港を訪れても野心に燃える敬子は振り向かない。
その後、片倉(藤巻公義)という青年と知り合うも、彼の毒牙にかかろうとする。
片倉から危うく逃れた敬子は忠夫のことを懐しく思い出す。
庭園では--菊江との結婚を諦めた周作が見合いしたというので、かおるは大きな打撃を受けた。
しかも、公団の土地買上げで庭園を手放すという話も彼女にはショックだった。
希望を失ったかおるは鉄橋を歩いていた。
轟然と電車が走りすぎたそのあとに、かおるがうずくまっているのを周作が見つけた。
月明りの道の上に求愛の字を書くかおるを周作は、ひしと抱きしめるのであった。

☆12月10日 映画「美貌に罪あり」を見た - 花椿夕月の『雪*星*さざれ石』



コメント:
 
山本富士子、若尾文子、野添ひとみのトリプル主演に杉村春子が助演している。
大農家を舞台に、山本と勝新太郎、若尾と川口浩、野添と川崎敬三の恋の行方が見どころとなっている。
杉村が売った家の扉を閉めてから見送るシーンも印象的だ。
若尾文子は、スッチー姿、水着姿、パーティーでの肩出し衣装等みずみすしい姿を披露している。
 
東京郊外の元大地主一家を守る未亡人の母と、美人の娘二人。
時代の流れに家族の絆が辛うじて保たれている危うい状態を描く。
公団の土地買い上げや、スチュワーデスという新しい女性の職業など、時代の大きな変化を背景にした作品。

紆余曲折はあったが、母が家と土地の売却を決め、親戚知人を招いて宴を催す。
席上母のあいさつで辛辣に近隣を皮肉るシーンは痛快である。
そのあいさつの口上は以下の通り:
「みなさん、今日はお集まりいただきありがとうございました。
私は、夫に先立たれた後、150年続いたこの吉野の家を護ろうと必死でがんばってまいりました・・・
でもこの土地と家を手放そうと決意して、今はさばさばした気持ちでおります・・・
佐平さん、いままで安いお金で花を買い取ってくれてありがとう。
谷村さん、高い利息でお金を貸してくれてありがとう。」
 
この映画のツボは、何といっても母を演じた杉村春子の存在だといえよう。
この女優の素晴らしい演技力があって、山本富士子や若尾文子の美貌がくっきりと映えるのだ。
杉村春子は、劇団文学座の結成時点から参加し、長年にわたって文学座の中心的存在として演劇の世界で活躍した大女優だ。
 
山本富士子が師匠役の勝新太郎と二人で踊るシーンは美しい。
勝新は、日本舞踊もしっかり踊れるのだ。
正に美男と美女の美しい舞いだ。
 
 
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