山田洋次監督の映画 「家族はつらいよ」 熟年離婚をテーマにしたファミリーコメディ! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「家族はつらいよ」

 

 

家族はつらいよ 予告編

 

2016年3月12日公開。

熟年離婚をテーマにしたファミリーコメディ。

「男はつらいよ」以来の喜劇映画。

興行収入:13.8億円。

 

脚本:山田洋次、平松恵美子

監督:山田洋次

出演者:

橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優、風吹ジュン、小林稔侍、笹野高史、笑福亭鶴瓶

 

 

あらすじ:

初秋。

東京の郊外で暮らす三世代同居の平田一家の主・周造(橋爪功)は、モーレツサラリーマンだった時期を終えて今はすっかり隠居生活を送っている。

今日も仲間とゴルフを楽しんだ後、美人女将・かよ(風吹ジュン)がいる小料理屋で散々女房の悪口を言って盛り上がり上機嫌で帰宅。

長男・幸之助(西村雅彦)の嫁・史枝(夏川結衣)は酔っぱらっている周造に気を遣いながらも義父の苦言に笑顔で付き合う。

妻の富子(吉行和子)もまたそんな夫を優しく迎え、寝室に脱ぎ捨てられている服を拾い歩きながら着替えを手伝うのだった。

周造はいつものように靴下を脱ぎ捨てながら、ふと寝室に飾られたバラの花瓶を見て「その花どうした」と尋ねる。

なんでも誕生日に花をプレゼントする事は仲間の決まりで、今日は私の誕生日なのだと富子は言う。

すっかり忘れていた周造だったが、たまには妻に誕生日プレゼントでもしてやろうかと欲しいものを聞いてみると、富子が机から持ち出してきたのはまさかの離婚届であった。

突然の宣告を受け唖然と凍りつく周造。

一方、富子はそんなことはお構いなしに冷静に部屋を出ていってしまう。

こうして、平田家の“離婚騒動”は幕を開けた……。

10月26日、秋晴れの日曜日。

周造と富子、幸之助と史枝、長女・成子(中嶋朋子)と夫・泰蔵(林家正蔵)が集まっている。

件の離婚問題について議論しようとしたとき、今日が家族会議だと聞かされていなかった次男の庄太(妻夫木聡)が恋人を紹介するため憲子(蒼井優)を連れてくる。

なかなか本題に入れない一同だったが、ようやく憲子を交えた8人で家族会議が始まった。

だが幸之助と成子が口論を始め、ついには史枝、庄太、泰蔵まで巻き込まれ、会議は思わぬ方向に進んでしまう。

やがて長年抱え続けた富子の思いがけない本音が暴露されると、事態は更に思いも寄らぬ局面を迎えるのだった……。

 

 

コメント:

 

昨今、家族のカタチというものが変わりつつある現代で、昔からの家族在り方を考えさせてくれる。
山田映画おなじみの演者たちの絶妙なセリフ回しが面白く、あっという間にエンディングになる。
離婚間近の熟年夫婦、子育て・中間管理職の長男夫婦、これから新しい家庭を作ろうとしている次男夫婦。

それぞれのポジションの違いも見せながらのハッピーなファミリーコメディだ。
 

 

熟年離婚がテーマとなっており、2013年の『東京家族』と同じ家族のキャストで描いている。

小林稔侍、風吹ジュンも『東京家族』と同じ役で出演している。

劇中では『東京家族』や『男はつらいよ』のポスターが貼ってあったり、『男はつらいよ』の主題歌が唄われDVDが並んでいたりする場面がある。

山田洋次の遊び感覚があちこちにちりばめられている。

 

 

熟年離婚をめぐる家庭内のゴタゴタを面白可笑しく紡ぎ出した名匠山田洋次のこなれた語り口に引き込まれるオーソドックスなホームコメディだ。
東京郊外の庭付き一戸建ての三世代同居で、犬は外飼いの上に、嫁姑は専業主婦の子持ちで、兄弟は皆結婚して定職に就いて安定した暮らしぶりでと、そんな絵に描いたような家族が今時どれだけあるのかという疑問もあるが、やはり山田洋次は「寅さんの一家」という大切な土台を常に意識して、家族とはなんだろうというテーマを追求することがライフワークだということなのだろう。

 

 

言葉で言うことです、と諭されて、夫婦生活は良かった、と告げることで、事態が改善されるというエンドになる。
生きるということは、言葉なしではありえない。

対話の中で、自分を知り、他人を知り、人間になっていく。

寅さんは旅に逃げることができるが、この家族のように普通に暮らす私たちは、ここで暮らしていかなくてはいけない。

言葉のやりとりが、日常なのだ。

この三世代家族の日常には温かみがあり、決してつらいとは思えないのにこんな事件になるというストーリーが面白い。

 

ドタバタ喜劇の原点のような作品に仕上がっていて面白い。
会話のテンポもよく、ストーリーは単純明快で判りやすく、息のあった俳優人の掛け合い漫才のような展開は最後まで飽きさせず楽しい。
ときおり出てくる「寅さん」を思わせる人情と哀愁たっぷりな日本人的風情も良い。
そして小津 安二郎監督へのオマージュもある。
橋爪功が、笠智衆の哀愁あるラストシーンを観ているところは、郷愁を誘う。

 

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