「新・極道の妻たち」
1991年6月15日公開。
極道の妻たちシリーズの第5弾。
家田荘子原作の同名ノンフィクション。
ある極道一家の跡目争いの中で母子の絆に苦悩しながらも迫りくる大組織と闘う極道の妻の姿を描く。
姐さんは岩下志麻に定着している。
脚本:那須真知子
監督:中島貞夫
出演者:
岩下志麻、かたせ梨乃、 高嶋政宏、桑名正博、夏八木勲、新藤恵美、本田博太郎、三上真一郎、宮本大誠、西田健、綿引勝彦、西岡徳馬、石橋蓮司
あらすじ:
尼崎にある藤波組で二代目が急死した。
これにより、霊代という立場になった加奈江(岩下志麻)は、事実上の統率をすることになった。
加奈江には、頼子(新藤恵美)という妹と、雅美、直也(高嶋政宏)という二人の子供がいた。
頼子の夫は現在拘留中の若頭・松岡で、雅美の夫である宗田(桑名正博)は本部長、そして直也は最近組を興し藤竜会の会長になっていた。
松岡が出所となることから、加奈江は三代目には松岡を立てて、自分は二代目霊代から引こうとして思っていた。
ところが、その矢先に松岡が射殺されてしまう。
それにより、藤波組は大きく揺れ動くことになった。
加奈江は、三代目候補に宗田を選んだ。
だが、それを知った直也は、この機会を逃すまいと緊急幹部会席上で、宗田を押す幹部を相手取り、三代目に立候補したのである。
直也は、当時女子大生の葉子と付き合っていたが、直也が極道であることを気付かれ、突然の破局を迎えてしまう。
落ち込んだ直也は、それを晴らすかのように藤竜会会長としての貫録をつけ、藤波組の威光を利用して前田組を吸収した。
しかし、皮肉にも、対立する神原組系列の組織と前田組が盃を交わしたことにより、藤竜会と前田組の間に抗争が起きることとなる。
加奈江は一人、神原組を訪れ、藤竜会の解散と直也の引退を条件に、この戦争を終結させようとするが、それを受け入れようとはしない息子の直也の余りにも強い意志に、ついに加奈江は屈した。
加奈江は母子の絆を断ち切り、幹部会で三代目に直也を、若頭に宗田を決定したが、藤波組は神原組と戦争を始めようとしていた。
だが、それを察知した警察権力の介入で直也に逮捕状が出た。
一方、弁護士協会から懲戒勧告を受けた組の顧問弁護士・美佐子(かたせ梨乃)も藤波組と心中する腹を決めていた。
加奈江は直也の護送ルートを美佐子にしか知らせなかったが、宗田は美佐子からそれを聞き出し、警察に出頭する途中の直也を前田組が銃で射殺した。
加奈江は、宗田が神原組幹部の地位と引き換えに松岡と直也を殺したことを知った。
その後、加奈江は美佐子と共に宗田を射止め、さらにその怒りを神原組へと向けていくのだった。
コメント:
「極妻シリーズ」の第5作。
本作は特に母と息子の絆を極道世界を背景に描き込んでいる。
姐さん・霊代の岩下志麻と、息子で三代目の跡目を継ぐことになった高嶋政宏と母子の確執が見どころだ。
岩下志麻は、もう堂々たる姐さんになりきっている。
常に動じない岩下志麻のいかにもな極道の女ぶりが様になっていて、抜き身の刃のようにささくれだった息子のしでかす騒動に眉一つ動かさない。
本物の極道の世界に行っても素人さんとは見られないだけの貫禄が出てきている。
やはり、姐さんは岩下志麻に戻してよかったと東映首脳陣も、観客も納得しただろう。
息子で三代目の跡目を継ぐ若親分に高嶋政宏が扮して大健闘。
もともと高島家のお坊ちゃんで毛並みが良すぎるのだが、この作品ではけっこう様になっている。
姐さんの凄さを際立たせるための映画の中で、男としてカッコイイ演技をするのは難しかったかも知れないが。
高島に惚れる堅気の娘・雅美を演じる海野圭子という女優が存在感を見せる。
随分と大胆に肌を見せて高島と絡んでいる。
こういう濡れ場シーンはこのシリーズでは付き物であった。
亡くなった二代目の息子はイケイケ系のやくざ抗争の末、やがて、息子はヒットマンの的になり・・・。
岩下志麻は今回は母親の側面がより強く出ている。
その分ドラマが深くなったと思う。
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