トム・クルーズの映画 「7月4日に生まれて」 ベトナム帰還兵の実話を映画化した感動の大ヒット作! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「7月4日に生まれて」

(原題: Born on the Fourth of July

 

 

7月4日に生まれて 予告編

 

1990年2月17日日本公開。

アメリカ独立記念日に生まれたれべトナム帰還兵の青年の実話を基に描く感動のドラマ。

ゴールデングローブ賞 主演男優賞を受賞。

第62回アカデミー賞で8部門にノミネートされ、監督賞、編集賞の2部門を受賞。

興行収入:$161,001,698。

 

 

 

 

脚本:

オリバー・ストーン
ロン・コーヴィック

監督:オリバー・ストーン

出演者:

トム・クルーズ

キーラ・セジウィック

ウィレム・デフォー

レイモンド・J・バリー

キャロライン・カヴァ

マイクル・コンポターロ

 

 

あらすじ:

1946年7月4日、アメリカの独立記念日に生をうけたロン・コーヴィック。

彼は、ロングアイランド州マサピークアでその少年時代を送っていた。

ケネディ大統領の、自由の存続と繁栄についての演説の中、7歳のロン(ブライアン・ラーキン)は、野球に夢中になる一方、戦争ごっこにその愛国心を芽生えさせていた。

すっかりスポーツマンに成長した高校時代のロン(トム・クルーズ)は、ある日学校にやってきた海兵隊の特務曹長(トム・ベレンジャー)の言葉に感銘をうけ、プロムの夜、憧れていたドナ(キーラ・セジウィック)とのダンスの思い出を胸に、64年9月、子供の頃からの夢であった海兵隊に入隊した。

そして13週間の訓練を経て、ロンはべトナムの戦場に身を投じるのだった。

67年10月、軍曹になったロンは、激しい銃撃戦の後、部下を率いて偵察に出かけ、誤まってべトナムの農民を惨殺してしまったことを発見し、ショックをうける。

そしてこの混乱に乗じて襲いかかかってきたヴェトコンの姿にパニック状態に陥ったロンは、部下のウィルソン伍長(マイクル・コンポターロ)を射殺してしまう。

罪の意識にさいなまされるロンに、上官は口外を禁じるのだった。

そして68年1月、激しい攻防のさ中、ロンはヴェトコンの銃弾の前に倒れ、下半身不随の重傷を負ってしまう。

ブロンクス海兵病院に運び込まれたロンは、怪我をしても人間らしい扱いをしてもらえないここでの苛酷な現実に、ただ絶望感を募らせるだけだった。

69年、故郷のマサピークアに戻って来たロンは家族に温かく迎えられるが、べトナム戦争を批判し、反戦デモを繰り広げている世間の様相に大きなショックをうけるのだった。

この年の独立記念日に、在郷軍人会主催の集会の壇上に立ったロンは、戦場のトラウマが蘇りスピーチを続けることができなかった。

シュラキース大学にロンはドナを訪ねるが、彼女も反戦運動に加わっていた。

世間の冷たい風当たりに、ロンは次第に酒に溺れ、両親(レイモンド・J・バリー)(キャロライン・カヴァ)の前でも乱れ続けるのだった。

苦しみから逃れるように、70年にメキシコに渡ったロンは酒と女で孤独を紛らわせる。

しかしここで知りあったチャーリー(ウィレム・デフォー)の厳しい言葉に目が覚めたロンは、自堕落な生活と訣別し、ウィルソンの両親を訪ね罪を詫びるが、返ってきたのは優しい慰めの言葉だった。

72年、苦しみの中で人生の意味を誰よりも強く知ったロンは、反戦運動の先頭に立ち、マイアミのニクソンを支持する共和党大会に乗り込み、戦争の悲惨さを訴えた。

そして76年、自らの戦争体験を綴った『7月4日に生まれて』という本を出版し、大反響を呼び、その年の民主党大会で彼は演説をするため、その壇上に立つのだった。

 

 

コメント:

 

ロン・コヴィックの自伝をオリバー・ストーンが映画化。

国のために身を捧げることが正義だと信じるロンが、ベトナムの戦争で悲惨な戦争の現実を知り半身不随となり反戦運動に身を投じる苦難の半生は、アメリカが無邪気にアメリカの正義を信じていた頃から成熟した国家となる過程と二重写しに見える傑作映画だ。

 

オリバー・ストーン監督の作品は、大胆に踏み込めない所を滅多斬りしていってくれて、見ていて心地良い。

役作りのために、トム・クルーズは車椅子生活を一年もしたという。

 


戦争ごっこが大好きで、愛国心に満ちた少年が、ケネディ大統領の演説に魅了されて、志願する様子は、ハラハラして「やめろ」と止めたくなってしまう。

ベトナム戦争での誤射、自身の怪我、そして下半身付随。

帰還兵として独立記念日のパレードに参加するロンのシーンは、嫌が応にも、負傷した兵士を見ても思い止まらなかった少年だった頃のシーンと重なる。

英雄って何だろう?名誉って何だろう?愛国心って?と考えずにはいられない。

 


下半身付随になってまで国のために戦ったのに、病院の介護は悲惨で、絶望感が半端ない。

仲間を誤射してしまった精神的苦痛にも苛まれ、殺してしまった兵士の親御さんに真実を打ち明けるシーンは、勇気ある行動だ。

許してはもらえなくとも、理解してもらえて、それだけでも良かった。

 

ベトナム戦争をテーマにした映画はたくさんあるが、その中でもこの作品は実話に基づいて描かれていて胸に迫るものがある。

145分という長時間の映画が全く長いと感じないほど濃い内容になっている。

トム・クルーズの映画の中でも、トップクラスのシリアスな心に深く残る貴重な作品だ。

トムは、「トップガン」とか「ミッションインポッシブル」のようなアクション映画が目立つが、本作のような人生をシリアスに描くヒューマンドラマでもっと活躍してほしい。