岩下志麻の映画 「聖女伝説」 郷ひろみの悪漢ロマン映画! アイドルからの脱皮に成功した記念作! | 人生・嵐も晴れもあり!

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「聖女伝説」

 

 

聖女伝説 予告編

 

1985年3月22日公開。

郷ひろみ主演のピカレスク(悪漢)ロマン映画。

 

 

 

脚本:塩田千種

監督:村川透

出演者:

郷ひろみ、小野みゆき、岩城滉一、山田辰夫、夏木勲(夏八木勲)、成田三樹夫、三船敏郎、岩下志麻

 

 

あらすじ:

早瀬俊夫(郷ひろみ)、27歳。

7年の刑務所暮らしを終えて、かつての務所仲間、岡野(岩城滉一)を訪ねた。

俊夫はしばらく、岡野の借金取り立ての仕事を手伝うことになった。

そんなある日、金のためなら何でもやる総会屋・立花(成田三樹夫)の事務所で、銀座のクラブを経営する妖艶な女・市川多恵子(岩下志麻)に会った。

その夜、俊夫は多恵子の部屋を訪れ、強引に抱いて関係を結んだ。

怒りがおさまらないのはそれまで多恵子のツバメだった工藤(山田辰夫)だが、腕力でも度胸でも俊夫にはかなわないと思った工藤は弟分になった。

2ヵ月後、俊夫は西麻布に多恵子が開店した高級クラブ“宵待草”のバーテン兼用心棒として夜の世界に生きていた。

その店には、多恵子のパトロンである政界の黒幕、神崎(三船敏郎)も姿を見せていた。

そして立花もいた。

そんな中でも俊夫の目を引いたのは、ピアノの鍵盤を華麗にあやつる女・王麗花(小野みゆき)だ。

父親はアメリカで名の知られた華僑で、母親は日本人だという。

麗花にひと目惚れした後夫は執拗に彼女を追い、愛を交わすようになる。

やがて俊夫は自らの計画を実行に移しはじめた。

「人が10年かかるところを3年でやってみせる」という決意に従って、多恵子から借金して自分の店を持ったのだ。

野望はひとつずつ達成されていったが、そんなことで満足するような俊夫ではない。

そんな時、俊夫は立花と多恵子がほしがっている森山ビルの譲渡権利書の話を耳にした。

立花を出し抜いて俊夫と手を組もうとする多恵子。

立花と多恵子に動かされて俊夫が森山ビル獲得のために動き出した。

綿密な下見を重ね、計画が実行される。

俊夫は岡野と共に森山ビルを襲撃、岡野が社員を外におびき出す間に、森山(夏木勲)を部屋に監禁、5日間にわたって水も食事も与えず脅迫した。

そしてついに譲渡権利書に署名させたのだ。

誇らし気に俊夫が持ってきたその権利書を見て多恵子は愕然とした。

何とそこには俊夫の名前が書かれていたのだ。

それから数年後、俊夫はアウトロー社会のトップクラスにのし上がった。

しかし、気まぐれな麗花は俊夫のもとを去り、俊夫はその空虚さを埋めるために酒びたりの日々を過ごすようになっていた。

ある日、麗花が帰国すると伝えてきた。

成田に出迎えようとする俊夫に、工藤はその前に会ってほしい人がいると俊夫をうらぶれた一軒のバーに案内した。

そこには見るかげもない多恵子がいた。

多恵子は俊夫の顔を見ると、かつて俊夫がほしがっていたピストルを俊夫に向けて引金を引いた。

 

 

 

コメント:

 

郷ひろみの悪漢バイオレンス映画。

徹底的に悪を極める、いわゆるピカレスク作品になっている。

キャッチコピーは、「NO MORE GOD, NO MORE LOVE」。

つまり、「神も要らない、愛も要らない」ということだ。

 

監督はハードボイルド映画の第一人者である村川透。

松田優作とコンビを組んだ『遊戯』シリーズ、『蘇える金狼』(1979年)『野獣死すべし』(1980年)といった傑作を世に送り出した後、松竹映画『凶弾』(1982年)『シングルガール』(1983年)のメガホンをとった。

『聖女伝説』は満を持しての本格ハードボイルド映画となった。

 

主演はトップアイドルの郷ひろみ。

この頃の郷は1984年に「2億4千万の瞳」が大ヒット。

松田聖子との交際が芸能ニュースとして取り上げられていたが、映画公開の直前の1985年1月に破局を迎えるなど波乱に富んでいた時期であった。

郷が演じる早瀬俊夫は裏社会でのし上がっていくダーティな役。

数々の凄惨なヴァイオレンスシーンに挑戦している。

またヒロインの小野みゆきを相手に全裸で挑んだハードな濡れ場は話題を集めた。

こうして新しいアダルトな魅力を存分に発揮し、アイドルからの脱皮に成功したという評価を得た。

 

 

音楽はフランス映画界の巨匠フランシス・レイを起用。

全編に漂うダークな映像に色を添えている。

フランスでオープンカーを乗り回すひろみと小野みゆきシーンがある。

まるでクロード・ルルーシュ作品のようだ。

フランシス・レイの音楽が流れ。毛皮にタキシードのひろみがカッコイイ。

アラン・ドロンをめざしたのだろう。

 

 

ひろみのピカレスク振りがはんぱない。

出所後、すぐに岩城滉一と借金取り立てに自動車修理工場に行き、そこで展開されるバイオレンスのシーンからエンジン全開だ。

岩下志麻をメチャメチャにして、夏八木勲を相手に5日間徹底的な耐久ホラー、成田三樹夫を埠頭に沈め、成り上がりの果てに気が狂うという凄いストーリーになっている。

死相メイクも様になっており、こんな郷ひろみの映画があったのかと驚きの連続だ。

贅沢にも、三船敏郎まで出演している。

 

 

 
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