「マンハッタン無宿」
1969年2月15日公開。
「ダーティーハリー」のシーゲル監督との初コンビ作品。
興行収入:$3,110,000
見どころ①
ラストで出てくる「旧パンナム・ビル」の屋上でのヘリのシーン
犯人を護送するクリント・イーストウッドが、犯人とヘリに乗り込む。
実際にそのころ、わずかな期間だが、このビルの屋上から最寄の空港までを結ぶヘリ・サービスがあったのだ。
1979年の事故で廃止されたという。
この映画では、犯人を護送するクリント・イーストウッドとスーザン・クラークとの別れの場面で使われている。
見どころ②
LSD、売春、ヒッピー、サイケにゴーゴーと、60年代当時の風俗がいっぱい。
見どころ③
西部劇と違って、バイクでの犯人追跡シーン
脚本:
ハーマン・ミラー
ディーン・リーズナー
ハワード・ロッドマン
監督:ドン・シーゲル
主なキャスト:
クーガン: クリント・イーストウッド
マッケルロイ警部補: リー・J・コッブ
ジュリー: スーザン・クラーク
リニー: テイシャ・スターリング
リンガーマン: ドン・ストラウド
あらすじ:
アリゾナ州の保安官補クーガン(クリント・イーストウッド)は現代に生き残った原始人のような男。
本能的に狩りが巧みで、彼の追跡にあっては、いかなる凶悪犯も、とても逃げきれるものではない。
そのうえ、他人との協力をこばむ一匹狼だったので、上官の受けは良くない。
ある日のこと、彼はニューヨークで逮捕された凶悪犯をアリゾナまで護送してくる仕事を、任されたのである。
1人ニューヨークに乗り込んだが、なにせ田舎者なので勝手が分からない。
ルールを無視して凶悪犯リンガーマンを引きとった。
この頃知り合ったのが、ニューヨーク警察の女性犯罪者の保護係ジュリー(スーザン・クラーク)である。
彼女はクーガンの野性的魅力に強くひかれるようになった。
一方リンガーマンを連行して空港まできたクーガンは、待ち伏せしていた悪党一味の罠にかかり、リンガーマンを逃がしてしまった。
苦しい立場に追い込まれたクーガン。
彼は警察官を解雇され、一市民としてリンガーマンを追うことになった。
ジュリーの協力を得て、リンガーマンの情婦リニーを追いつめ、ついにリンガーマンの居場所をつきつめた。
オートバイで逃げるリンガーマン。
さらにスピードを上げて追うクーガン。
馬をオートバイに乗り替えたようなクーガンの追跡には、かなわない。
彼は見事、市民として、凶悪犯を逮捕したのである。
コメント:
ドン・シーゲル監督との初のタッグとなった作品。
アリゾナの保安官補がニューヨークで拘束された犯人引き取りに来て、犯人に脱走を許すが、ニューヨーク市警察と対立しながらも犯人を追う物語。
追跡能力と腕力で事件を解決するクリント・イーストウッド扮するクーガンは、ダーティ・ハリーを彷彿とさせる。
ダーティ・ハリーの原型といわれる所以だが、本作は、そのカウボーイのような警察官ぶりが異彩を放つ。
酒場での乱闘シーンは、昨今の映画のように殴る、蹴るショットを延々と積み重ねてもダウンしない、ということは無く、常識的にダウンしてくれるのが、かえって新鮮で、打撃感覚が生々しく、リアリティが増す。
ラストのオートバイの追跡シーンも、かっちりとした描写で、バイクの重さ、振動、更にバイクが倒れ込む時の打撲の痛さが、ほの見えてくる。
派手さが無いだけ、人やバイクの質量感が増すようなアクションシーンとなっている。
女優陣も案外良い。スーザン・クラークはもとより、テイシャ・スターリングがコケティッシュでいい味を出している。
二人ともこの作品が、ベストといってもいいだろう。
リー・J・コッブのニューヨーク市警の警部補もハマりである。
セリフではなく、表情、たたずまいでクーガンに対する感情を示すシーンがいい。
そんな、男くさいイーストウッドと表情のコッブとお色気の女優を楽しむだけもで、満足できる作品である。
この映画は、TSUTAYAでレンタル可能:
https://tsutaya.tsite.jp/item/movie/PTA00007YE4A