「続宮本武蔵 一乗寺の決斗」
1955年7月12日公開。
吉川英治の「宮本武蔵」を原作とした3部作の第2作。
配給収入:1億6800万円。
脚本:稲垣浩、若尾徳平、北條秀司
監督:稲垣浩
出演者:
三船敏郎、八千草薫、鶴田浩二、岡田茉莉子、木暮実千代、水戸光子、平田昭彦、加東大介、二代目尾上九朗右衛門、堺左千夫、藤木悠、北川町子、三好栄子、東野英治郎
あらすじ:
黎明の広野に、鎖鎌の達人宍戸梅軒(東野英治郎)と戦って勝った宮本武蔵(三船敏郎)は、そのまま京への道を歩んで行く。
その彼を追い求めているのはお通(八千草薫)と朱実(岡田茉莉子)であった。
やがて京の三条大橋に現われた武蔵は、そこで待ちわびていたお通に逢った。
そこへ吉岡道場の一味が現われ、武蔵はお通をかばいながら激しく斬り合ったが、それを橋上から眺めているのは物干竿と呼ばれる大刀を持った佐々木小次郎(鶴田浩二)である。
武蔵を見失ったお通は、清十郎(平田昭彦)に恥ずかしめられた朱実に出会った。
二人共求める男が武蔵であることを知ると、朱実は嫉妬をあからさまに示した。
その頃、修行の旅から帰って来た吉岡伝七郎(藤木悠)は、兄・清十郎の不甲斐なさに武蔵を討つ決心をしたが、逆に斬られてしまう。
雪の夜、伝七郎を討ち、そっと廓に戻った武蔵の袖の血を、吉野大夫(木暮実千代)が懐紙で拭った。
やがて武蔵と清十郎の対決する時が来た。
一乗寺下り松では、門弟等大勢が武蔵をだまし討ちにしようと待ち構えていた。
小次郎が立ち合いに来たが、お通と朱実も駆けつけ、お杉(三好栄子)と又八(堺左千夫)もそれを追った。
やがて武蔵が現われ鉄砲が火を吹いた。
いつしか二つの剣を持って戦う武蔵は手傷を負っていた。
やがて門弟に謀られて遅れた清十郎もやって来て武蔵と対決したが、武蔵の勝ちであった。
谷川のほとりで傷を癒やす武蔵とお通。
心をかき乱された武蔵はお通を枯草の上に押し倒した。
驚いて身を退けるお通。
はッと我に返った武蔵は起き上って姿を消し去った。
コメント:
まず宍戸梅軒(東野英治郎)との闘い場面から始まり、武蔵の強さを前面に出す。
そして老僧日観(高堂国典)から強すぎると指摘され、「剣の道は人の道」と諭される。
そして佐々木小次郎の登場。
あけみ(岡田茉莉子)とお通(八千草薫)の恋の闘いが始まる。
恋の場面と闘いの場面が交互に描かれ、退屈することなく、バランスの良い構成だ。
佐々木小次郎は、鶴田浩二が演じている。
『男性No.1』以来2度目ので共演である。
稲垣監督は1940年、42年に「宮本武蔵」4部作を作っているが、この時の武蔵は片岡知恵蔵で、豪華と繊細さを表現している。
本作で稲垣は、武蔵を取り巻く人々に目を向けて、知恵蔵版とは違った作りをしていた。
稲垣は50年、51年に「佐々木小次郎」を作っていて、武蔵を取り巻く人物に興味を抱いていたことがうかがえる。
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