日本の代表的な映画監督といえば、やはり「黒澤明」でしょう。
黒澤明の経歴と、作品の特徴をさぐります。
黒澤 明
(1910年(明治43年)3月23日 - 1998年(平成10年)9月6日)
出生地:東京府荏原郡大井町(現在の東京都品川区)
日本の映画監督、脚本家。
1943年より1993年までの50年間にわたり映画監督を続行。
監督作品:『羅生門』、『生きる』、『七人の侍』、『蜘蛛巣城』、『用心棒』、『乱』など計30作品。
1936年、P.C.L.映画製作所(1937年に東宝に合併)に入社。
山本嘉次郎の助監督や脚本家を務める。
1943年、『姿三四郎』で監督デビュー。
1951年に『羅生門』でヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞し、日本映画が国際的に認知されるきっかけとなる。
『羅生門』と『七人の侍』は国外での知名度が高く、ハリウッドでも多くのリメイクが作られた。
晩年は海外の映画製作者の資金調達で『影武者』や『乱』を完成させ、海外で多くの映画賞を受賞した。
映画「スター・ウォーズ」にも大きな影響を与えたことでも知られている.黒澤映画。
その特徴は何でしょう。
黒澤明監督作品は、余計なセリフを省いて「5つの動きでストーリーを語っている」というのです!
「5つの動き」とは何でしょうか。
まずは、「自然の動き」です:
日の光、風や雨、雪、雲、雷、滝、波など。
次は、「集団の動き」です。
武士たち、兵隊たち、会社員たち、村人たちが起こす群衆の動きです。
さらに三つ目が、「個人の動き」です。
喜び、怒り、不安、悲しみ、屈辱などを分かりやすく、ある時は、デフォルメして表現することで、その個人の動きが物語を生み出すのです。
そして、四つ目は、「カメラの動き」です。
4番目は「カメラの動き」です。黒澤映画は流れるようなカメラワークが印象的です。
顔のアップから全身のシーンまでノーカットで一気にカメラを引いて連続で撮影しているのです。
黒澤映画では、このように、動きの始まり・中間・終わりがハッキリとしているのです。
スティーブン・スピルバーグ作品でも同様のカメラワークが見られるといいます。
最後は「カットの動き」です。
黒澤監督は、自ら編集作業を行っていました。
動きをスムーズに見せて、時に観客は俳優の動きに目がとらわれ、映像の編集に気付かないほどだったようです。
「カメラを意識させちゃ駄目なんだよ」というのが、監督の口癖だったと言われています。
「視覚的刺激こそが観客の心を動かす。そのために映画はある」
これが黒澤監督の座右の銘だったようです。
また、黒澤明は、人間の本性をとことん抉り出すことに徹底し、「人間とは何か」というテーマを見据えて、人の醜悪さと、善性とを常に意識して映像化しようとするスタンスを変えることがありませんでした。
黒澤映画はヒューマニズムに徹した作風が特徴という評価が一般的ですが、彼の全作品を見て行くと、単なるお涙頂戴のヒューマンドラマではない、人の心の奥底に潜む、恐ろしいほどの極悪な部分や、気高く美しい神の領域と感じざるを得ない永遠の善性が描かれていることに気づくのです。
やはり、日本人ならではの独特の感性が鮮やかに映画という映像作品に結実しているからこそ、黒澤明は今も世界中の名監督たちから尊敬されているのだと思います。
では、これから黒澤明監督が残した30作品を見て行こうと思います。
お楽しみに!