86.エゼルの過去と鬱と乱 | 1/4世紀~詐欺師とペテン師

1/4世紀~詐欺師とペテン師

事実は小説より奇なり
この言葉がピタッとハマる…

重め恋愛日記と日常の日記
2部構成って感じです。

仲良くしてくれると尻尾振ります。

空を眺めていたいと芝生に寝転がるエゼル

または川の岩の上に寝転んで煙を上げ風を聴く
夜にはうなされて、すすり泣く
それと同時にアハロンは暗闇散歩に出る



エゼルが精神的に不安定なのは分かったけど
パラノイアとディプレスいう英語が
その当時は分からなかったので、
強迫観念、被害妄想、鬱病というモノだとは
ピンと来ていなかった私。




滞在延長が決まって、
私達は皆と少し離れた川の近くに
隣同士でテントを移した。

私達のテントはどれも小さなシングルテント。


村人から
「夜は寒いからエゼルとモカは一緒に寝るだろ?」
ティピというインディアン風テントを張って貰った。

テントの中でも焚き火が出来るので
とても暖かいテント。

なので
小さいテント達は荷物置き場という感じ。



ちなみに、
なぜか知らないけど「モカ」と言うのが
私の村での名前になっていた。


多分どんどん肌色が濃くなっていったから?



ある昼間、エゼルのテントに
飲み水を入れたペットボトルを持って行ったら、
2人の裸の女性と絡んでる虚ろな目のエゼルがいた。


泥酔してるような虚ろな目。


マリファナを吸って酔っている裸のエゼル。


私がテントの入り口を開けていて
しっかりと目が合っているのに
3人はそのまま絡み合っていて…
かなりの衝撃光景だった。



虚ろな目のエゼルを見ながら
後ずさって川に行くと
アハロンが岩の上に座っていた。




南、今日はエゼルとは近づかない方が良いよ。
あいつ、今日はおかしいから。


……遅いよ、さっきテント入っちゃった。


……あー。


……うん。



その後は会話続かず。




夜にポイの練習をしているとエゼルがやって来て。



…南、泳ごう。


今?寒いよ。


良いから行こう。




うっすら月明かりの下




僕ね、軍に入ってたのは知ってるよね。


うん。徴兵制なんだよね?


そう。この旅の前までは軍人。


ん。


……人殺しだよ、僕。



以前、ティム爺さんに言っていた。
「人殺しでも許されますか。」
戦争で人を殺したという事なんだと思った。



…でも戦争で仕方ない事なんじゃ?


南には分からないだろ!


何も言えなくなった。
エゼルのうなされてる理由だけが
なんとなくだけど分かった気がした

でもエゼルの言う様に、
私には戦争なんてモノは別の世界のお話過ぎて
何の言葉もかけれなくなっていた。




エゼルは私の手を取り
ティピテントに引っ張って行った。


今夜は1人で眠って。僕がシングルに寝る。


焚き火の前で
タオルで優しく私の身体を拭いたエゼルは
小さいテントに入って行った。


夜中。すすり泣くエゼル。

私は小さなテントに入ってエゼルを抱き締めた。

エゼルは私の胸に顔を埋めたまま泣き続けた。




エゼルは
この村で良くない方向に変わって行った気がする。


自己否定的な妄想癖がある彼は
マリファナに逃げ
快楽の世界に逃げ込んで行った。