82.不思議な人達と最初の5日間 | 1/4世紀~詐欺師とペテン師

1/4世紀~詐欺師とペテン師

事実は小説より奇なり
この言葉がピタッとハマる…

重め恋愛日記と日常の日記
2部構成って感じです。

仲良くしてくれると尻尾振ります。

マーリーマウンテンビリッジ

と言われたその場所は山奥の公道から外れ

道なき道を進んだ先の

木で作られたゲートの中にあった


凸凹道を進みゲートの中で車を止めた



荷物を持ち
「ようこそ」と書いた木の看板
その矢印通りに細い道をひたすら歩くと
校庭10個分以上はあるだだっ広い空間に出た
その中に点々とテントが張ってあった
広場外の木々付近にもたくさんのテント


巨大フェス会場……


キョロキョロしてると
一人の超ヒッピー風な男性が近づいてきて
「訪問者のテントはあっちに」案内してくれた
そして「テント張ったら、僕を探して」と



南のテント、エゼルと一緒で良い?
それともシングルテント?

キャシーらがふざける


テントを張り終えるとアハロン達は
向こうに川があって泳げるってと消えて行った


エゼルに「どうする?」と聞くと
ココで空を見ていたいと言うので
1人で髭を編んだヒッピー風の人を探す事に



滅茶苦茶な時間をかけて大きなテント
(運動会とかに使う日除けガゼボ)の下で
ようやく男性を見つけた



コレは今夜の皆の食事を作っているんだよ
ココでは自給自足して
必要なモノは
採った野菜を売ったお金で買ったりするんだよ


こんなに明るいうちに?


電気が無いからね
もちろん緊急時の為の発電機はあるけど
太陽と共に生活をするのが基本だね


男性はビトと言った
彼女はファイ、向こうがピーターとティム…


もちろん覚えられず「ハイ」と愛想笑い



えっと私は…



いいよ
開放期が過ぎても君がココにいたら覚えるから




この村が一般開放されるのは1週間
そう聞いてたけど、それ過ぎてからって…??
良く分からなかったけど
結局名前は伝えられなかった



そのままビトが案内をしてくれた


食料や調味料や種…色んなモノが入っている小屋
子供達が勉強しているテント
マッサージ?占い?しているテント
編み物をしている女性達がいるテント


喉が乾いたらティムが
あっちの方で何時でもチャイを飲ませてくれるよ


この川は飲み水
この川は洗い物
身体を清めるのはココ
遊ぶのはあっちの川


川を案内されると
アロハンやキャシー達が
大きな岩の上で日光浴をしているのが見えた



夜になると
広場の至る所で火が焚かれた


20秒も歩くと
自分がどちらから歩いて来たのか
全く分からなくなるほどの暗闇


火の場所を点と点で結び
自分のテント位置を覚えたつもりが
時間が経って消える焚き火があると
結局はすぐに迷子になるのだと分かって
翌日からの教訓にした


星の位置も確認しておかなければ…
でも星も動くよね…


ジプシーの夜というとイメージし易いだろうか


至る所で火の付いた紐や棒を持って
美しい火の線を作り踊る人達がいた
焚き火の周りでタロットカードを囲む人達も


3日目の夜
焚き火の鍋の前に1人座る老人を見つけた

「ヤングレディ、チャイはどうだい?」

この人がティムだと思った
隣に座って差し出された飲み物を頂いた


とても甘いミルクティーだった

お茶っ葉がカップの底に沈んでいて
「お茶っ葉は飲まないんだよ」とティム爺さん

頭上には怖いくらいに沢山の星が光っていて

「寝転んでごらん」

ティム爺さんに言われ、土の上に寝転んだ



星は好きかい?

分からないけど怖くなる

怖い?どうして?

……1人なんだと分かるから

……なるほど


どれくらい寝転んで居たのか分からないけど、
いつの間にか隣にエゼルが座っていた


南、テントの場所分かる?

分からない。エゼルは?

僕も分からない(笑)

一緒に探しましょ(笑)

ティム、美味しいお茶をありがとう

ヤングレディ、また明日



エゼルと暗闇の中、手を繋ぎ、
30分近く彷徨いながらテントに戻った


南、今夜は寒いから僕のテントで眠ろう
大丈夫、僕の可愛い妹さん
何もしないから(笑)


エゼルのテントで眠った


夜中、エゼルはうなされていた
私は背中で彼のガバッと起きる音
ため息、すすり泣きを背中に聞いていたが
私はずっと寝た振りをし続けた




5日目の朝
ビトがテントを訪ねて来て

この私とエゼルの二つのテントを
ティムのテントの横に移動させるようにと言った


横と言っても軽く20m以上離れているのだけど
その申し出は迷子の不安がなくなるので
とても有難かった


それに、周りのテントではこの4日間
昼夜を問わず…
なんというか男女が、いや…
男女だけではないのだけど入り乱れていて…


とにかく
訪問者達のゾーンを離れるのは有り難かった


訪問者の中で
エゼルと私だけが浮いていた