シンガポール ~ 2002年の回想  *更新* | 私の回想録 

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レミニセンス - 回想録。
過去の記憶を呼び返しながら、
備忘録として残したい。
記事が長いが何とぞご容赦ください。

私は駐在員として2002年から2004年に亘る2年と数か月、シンガポールに暮らした。
当時は物価が安く、シンガポールドルの換算レートは65円と駐在員には非常に有難いレベル。
日本人はリスペクトされ、日本食も現地の人に好まれ、暮らしで苦労することは皆無だった。

シンガポールの公共交通

 

私がシンガポール赴任中のオフィスはCity中心部。車はいつも必要ではなかったので、通勤は歩きか、公共バスを利用した。歩いても2.5km 30分くらい。いい運動になるがやはり赤道直下であるので暑い。シンガポールは1年を通して、朝7時に明るくなり夜7時に暗くなる。そしていつも緩い風が吹いているので日差しを避けて歩けば結構快適である。そして世界一安全な国。夜中1人で歩いても問題ない。

バスで通勤する場合、River Valley Road からシンガポール川沿いに下り、Havrock Road のバス停を使った。オーチャードロードの繁華街に行くのにもバスを使った。この路線、2階建てバスも使用されていた。EZ-linkというICカードで乗り降りも簡単で、地下鉄のMRTも共通である。シンガポールは当時から大変進んだ公共交通システムを持っていた。

 

シンガポールリバーの景観

 

住まい周辺の川沿いの歩道からの景観はとても美しかった。(2002年当時の写真、 キヤノン IXY200で撮影 )



   ロバートソン・キー

  リャンコート

   クラーク・キー

     スイソテル マーチャントコートホテル

        UEスクエア

 

    ボート・キー

 

 

ボングウ

 

シンガポールに住む日本人で知らない人はいなかった、コミック中心の古書屋を併設する軽食レストラン、ボングウ。 店の場所は、上の最初の写真、ロバートソン・キーに店を構えていた。

日替わりのディナーセット、ちょっと辛めのカレーライスなどを出してくれる。通勤路途中であったので頻繁に利用した。

しかし残念なことに2012年にお店を閉めたと聞いている。オーナーの関根さん、どうされているのだろう?

 

便利な路線バス

 

私の回りの日本人駐在員は、住まいのコンドミニアムと勤務地が離れている方が多く、会社から車が提供され、そのためバスに乗ったことがない人ばかりだった。でも車を持つことができないそのご家族は巧みに路線バス、地下鉄MRTを利用していた。狭いシンガポール、縦横無尽にバス路線が敷かれていた。それを憶えると、非常に便利なことに気づく。

EZ-Link Card は、日本でいう Suica等の交通系ICカードと同じシステムで2002年にはすでに、MRT、路線バスに全面導入されていた。2002年、日本において Suicaはまだまだ導入過程で、シンガポールの方が進んでいた。乗り降りは非常に簡単で、すごい便利と思った。 


また、町中のトラフィックで、バスは最優先で、バス運転手の地位、技術も高く、おかしな運転をする車がいたら、先ず警笛をならし、悪質な場合はバスに装着されているカメラで撮影し、警察に送られてしまう。




 

先進の Honda カーシェアリング

 

私の場合、車が必要な時は、タクシーか、当時始まったばかりのHONDA のカーシェアリングを利用していた。オフィスから歩いて10分くらいのところに2か所のカープールがあった。
車は白のシビックのハイブリッド車。
当時、シンガポールでは珍しい車種で、ナビのような操作画面がインパネに装着され、ナンバープレートも変わっていたので、並んだ横の車から、
なんだその車は?ガバメントカーか?
とか質問を受けた。

 


シビックハイブリッド 同型車

 

Jurong や、Tuas など少し距離のある客先訪問に対して便利に使わせてもらった。ICVSという名称で実験プロジェクトから始まったが、調べてみると2008年に解散してしまったようだ。その経緯としては、国の方針で車の数を抑制しているシンガポールではカーシェアリングは適しているとの目論見の先進的なシステムであったが、先進的過ぎて残念ながら事業としては成り立たなかったようである。利用者はバス、タクシーの方が使い勝手が良く、そして安くて便利だったということか?と思う。

 

便利なタクシー

 

タクシーは古い車体のものばかりだったが、タクシー代は安かった。電話による配車依頼のシステムも、かかってきた電話番号に履歴が記憶されていて、呼び出しが簡単であった。与えられた車番のタクシーは、指定場所に正確に来た。たぶん今ではスマホアプリで、より簡単に配車依頼ができるようになっていると思われる。


高速道路とERP自動料金徴収装置

 

狭いシンガポールの中、無料の高速道路が縦横に伸びている。そしてそれは西側と北側でマレーシアにつながる橋に続いている。今も同じと思うが制限速度は90キロ。随所にスピード違反車を捕らえるカメラが設置されている。

街中の混雑を軽減するため、City中心エリアに入る車は通行料がERPというゲートで徴収される。ERPゲートは街中に入るすべての道に配置され、抜け道はない。システム的には日本のETCと同様であるが、有人ゲート、バーなどは設置されていない。ゲートを減速することなく、そのままの速度で通過すれば、車内に設置された機械に挿入されたプリペイドカードから料金が徴収される。2002年当時、通行料は時間帯によって、0.5~1.50 Sin$が引き落とされた。もし機械に不具合があったり、カードにチャージし忘れたり、カードを指し忘れたりしてゲートを通過すると罰金を取られる。罰金は結構高かったような記憶がある。
このERPというシステムは、1998年から導入、設置されており、日本のETCの設置が2001年から広まっていったことを考えると、かなり進んでいた。

 

運転免許制度と自家用車

シンガポールの運転免許制度も特異である。今は知らないが当時は筆記試験に合格すれば運転することができた。であるから運転が強引というか下手なドライバーが多い。日本人駐在員も結構事故に巻き込まれていた。筆記試験は日本語では受けられないので、英語が苦手な日本人の方は中々試験に受からず、苦労されている方もいた。

国際免許の発行も迅速だった。ニュージーランドで運転するために、国際免許証を申請したら、カウンターの前でそのまま待って、5分足らずで発行してくれた。見た目は日本で発行される国際免許証とそっくりである。

フォトIDである運転免許証と、EP(就労許可カード)があれば、シンガポール国内のあらゆる手続き、サービスが非常に迅速に受けられた。

 

2002年当時、車は高額な税金がかけられ、カローラクラスのコンパクトカーでさえ、中古でも500万円程度の購入金が必要だった。現在はさらに上がって800万にもなっているらしい。ローンを払い、さらに保険、維持費が加わるので、大変な家計支出となる。

公共交通システムで何不自由ないのに、それでも、一般庶民でさえ車を持とうとする。そして金持ちはステータスとして何千万円もする高級車を所有する。そして国は潤う。国民は何も文句を言わない。

Drive safely !

 

美しく、豊かで明るい国、シンガポール。

しかし強力に法律及び罰金で統制され、悪事には容赦ない国。

麻薬、銃の持ち込みは、外国人旅行者であっても即絞首刑。

ゴミ捨ては罰金、場合によっては、むち打ちの刑。

地下鉄MRT車内では飲食禁止。たとえペットボトルの水でも。

香港のようなデモなんてとんでもない。


シンガポール ~ローカルフードに続く