大学ラグビー選手権の準々決勝。すべてのチームが一堂に会して、各チームが実力を披露した1日だったのではないかと思う。
帝京は試合開始時点だと少し手こずった印象で、やはりどんなに力差がある相手でも前半の20分は点数が動かない。しかし前半の半ばを過ぎて帝京の本領発揮。
セットプレーや対人の強さ、なによりも帝京は判断力が光り、トライを重ねて気がつけば78対15で圧勝。予想通りの結果であった。
天理対東海は、天理が勝つだろうと思っていたが、34対17と明確な力差があった。関東リーグの凋落はひどく、今回の準々決勝で各リーグの順位通りに結果が出せなかったのは東海だけ。東海は関東リーグで唯一シード権で生き残っていたチームだった。数年前までは帝京のライバルとして台頭していたが、今や昔である。
天理も年によって大きな波があるが、京産大というライバルが出現したことで強さが安定したように感じる。留学生も相変わらず強力で、帝京対天理の準決勝は死闘になるのではないかと少々不安だ。
明治対筑波はすでに対抗戦で勝敗が決まっているので、改めてやる意味がそんなに意味を見いだせなかったが、やはり予想通り明治が圧勝。
しかも今回の試合は明治の巧みさが如実に現れていた。筑波のサポートが遅いことを見抜くと一気にカウンターラックでボールを奪い、すかさず空いたスペースに蹴り込んで相手のタッチキックによりマイボールラインアウトを獲得。そして素早い展開でトライを奪う。圧巻のシーンだった。
準決勝は、京産との対戦になるが、こちらは本当にどちらが勝つか分からない。ただ、ラグビーというのは15人の平均値が大きな意味を持ち、突出した選手がいるから勝てるということはなかなかない。その点で言うと、明治はやはり才能集団の集まりでやや優位かなという心証をもつ。
早稲田対京産は、世間ではまったく勝敗の行方が分からない試合だと言われていたが、試合をやってみたら京産の圧勝だった。ここまで差がつくとは誰が予想しただろうか。
個人的には京産が勝つとは思っていたけど、それでも前半はもつれて後半に突き放すパターンを想像していた。早稲田は後半に失速する傾向があったので、三週間の休養があった京産は必ず最後まで走れているだろうと予測していたからだ。
まったく見誤っていたのはセットプレー。もう少し早稲田は耐えるかと思っていたけど、耐えられたらのは最初か次のスクラムだけ。あとはペナルティー祭りになった。
あれだけペナルティーを取られたらどんなに才能あるバックスがいても無意味である。現代のラグビーでスクラムが圧倒されたら、ほぼ勝利は掴めない。せめてペナルティーがなければまた違っただろうが、ペナルティーをとられ始めた瞬間に京産の勝利を確信した。
ついでに言うと、ディフェンスもひどい場面が散見された。先を読み過ぎて動いた結果わざわざスペースをあけてしまったり、早明戦で大量失点したのもむべなるかなである。
このように結果的に下馬評を覆す試合はなく、すべて順当に強いチームが勝利した。
そして結果として、対抗戦対関西リーグの構図が見事に浮き上がった。対抗戦1対関西2位。関西1位対対抗戦2位である。
順当に当てはめると、帝京対京産との試合になるのか。それても対抗戦同士の戦いになるか。こうした地域間の対戦は大会を盛り上げるうえで面白い展開だ。