9月29日にサモア戦があり、日本は辛くも逃げ切って勝利を手にした。
今回のワールドカップは、危険なプレイに対するジャッジが厳しい傾向にあり、意図的ではない行為であってもイエローカードを出されてしまう。それだけに規律をいかに保てるかが勝敗の行方を決めることになる。
前半では堀江選手が顔面を衝突させてイエローカードを渡され、運良くレッドカードを逃れたが、サモアの選手はイエローからレッドに変わってしまった。

サモア戦は、世界ランキングでみると相手が上で、日本は下。なおかつ直近の強化試合では負けている相手だった。
それだけに厳しい試合が予測されたが、前半は日本が素早い展開や優れた状況判断でトライを奪う。
さらに後半もリードを広げるかと思われたが、後半はサモアの怒濤の反撃を受けて、連続トライを献上し、追いつめられてしまう。しかし最後は日本がしのぎきって勝利した。
改めて今回のワールドカップを通してみると、日本の強みと課題が浮き彫りになった。

まず強みは素早い展開。サモア戦ではマンオブザマッチに選ばれたレメキが個人技でディフェンスの網をこじ開けると、そこでアンストラクチャーが生じて、早い球だしで定評のある斉藤が素早く展開し、トライに結びつけている。松田は周囲の状況をよく俯瞰しており、リーチへのパスはほんとうに素晴らしかった。
キックの精度も非常に高く、日本の救世主になっている。
スクラムも安定しており、どのチームが相手でも計算して戦略を練ることができるだろう。

課題は、相変わらず苦手意識が高いハイパント処理。この空中戦は、アルゼンチンにも必ず狙われるはずだ。
ゴール前のフィジカル勝負もやや不安感を拭えない。
アルゼンチンは、こうした日本の問題点をしっかりと予習して自分たちの強みをぶつけてくるはずなので、このあたりの課題は一週間で克服するのはほぼ不可能だろうから、それをしのぐ自分たちの強みをより発揮するしかない。

幸いなことに日本は経験値の高いベテランが多いので、適切に修正する判断力を発揮してくれることを期待したい。
そして繰り返すことになるが、規律が今回のワールドカップでは大きな意味をもってくる。いかに危険なプレイを避けてペナルティーを取られないようにするか。
それが勝利のための大前提になるだろう。