きょうは雨の中、帝京、明治両校のみなさんお疲れ様でした。
天候が荒れるということで、試合前からハンドリングエラーが懸念されていたが、その通りにエラーが頻発してはじめから終わりまでスクラムシーンばかりの試合になった。

世の中には価値の偏重を強調した「正義」があり、たとえば可愛ければなにをしても許される「可愛いは正義」や「力は正義」などがあるが、ラグビーに関してはスクラムこそ正義だろう。
きょうの試合はそのことを証明した内容になった。
ハンドリングエラーにしてもノットストレートにしても強制的にスクラムで始まり、そのスクラムが圧倒していれば常に相手のペナルティー獲得しながら攻め立てることができる。
ラグビーのルール上、スクラムが優位なほど恩恵を受けるものはない。

もうひとつ帝京の強みを改めて再認識したのは牢固なディフェンスだった。
明治の流れがある時間帯に帝京は幾度とピンチをむかえるが、明治があれこれと手を尽くしても帝京は組織的なディフェンスで忍耐強く穴をあけず守りきった。
最終的にはワントライを奪われたものの、それはインターセプトによるもので、明治の意図で崩したものではなかった。
この穴をあけることができるチームはいまのところ対抗戦では存在しないかもしれない。しかも今日は雨だったので華麗なバックスのトライシーンはあまり見られなかったが、晴天であればもっと大量のトライを奪って点差はより開いていただろう。
ほとんど明治のトライを奪う匂いは感じられず、前半の終了時点でほぼ勝利は確証していた。

メンバーは前回とほとんど変わらなかったが、残念なことにキャプテンが前回の試合で怪我を負ってしまい、かわりに五島源が出場した。五島は帝京らしく当たりが非常に強くアグレッシブな選手でキャプテンの代わりを十分に果たしてくれた。
スクラムの勝利シーンでは、前キャプテンの細木選手の咆哮が話題になったが、その代わりを引き継ぐように奥井の雄叫びがたくましく感じた。やはりリーダーはチームの方向性を示すとともに気持ちを鼓舞する存在でなければならない。その点で奥井は適任者である。

今日の試合でこれからの試合でも意識してもらいたいと思ったのが、ピンチはチャンスという言葉だった。逆に言うと、自分たちのチャンスの時はピンチにもなりうるということだ。
唯一トライを奪われたのは、帝京がチャンスで責めているときだった。
リードしていたので大きな痛手にならなかったが、状況によっては試合の行方を変えてしまう場合だってありえるだろう。
だからこそ、自分たちが優位な状況のときこそ「見えない落とし穴」に注意してもらいたいと思う。

それはともかくとして、今日の試合結果により帝京は対抗戦を優勝することができた。本当におめでとう!
大学選手権のトーナメントでは、最大の優遇ポジションであるため、入念な準備のもとで試合に臨むことができる。これほど大きなアドバンテージはないので、二連覇に向けた大きな成果である。
まずは冷たい雨の中で出場した選手も応援していた選手たちも大変だったと思うのでしっかり休息して英気を養い、次の慶応戦では対抗戦の有終の美を飾ってもらいたいと思う。

がんばれ、帝京ラグビー部!