明日の早稲田戦を前に両校のメンバーが発表された。
帝京の布陣は、ほぼベストメンバーと呼べるだろう。
とくにバックスの面子は近年にないほど完成度と創造性を両立させており、オフェンスを得意とする早稲田との対決ではどんな撃ち合いが演じられるのか興味深い。

フォワード陣で注目されるのは、日本代表への道が期待されているフッカー同士の対決。セットプレーの際は必ず江良、佐藤両選手が取り上げられるだろう。

今年の戦績を振り返ると、春の大会では52-26、夏合宿では35-28と背中を追われている。Jr戦は52-0と圧勝しているが、早稲田は対抗戦の本番で思いも寄らぬ力を発揮してきた過去があるので、油断すると非常に苦しめられる相手だ。特に先制点を奪われて波に乗られると厳しい。

早稲田のメンバーで注目は、一年生のスタンドオフ野中健吾選手。東海仰星出身で、これから早稲田の司令塔を期待されるルーキーだろう。
ただ、いきなりの大舞台の起用であり、経験の少なさが厳しいプレッシャーの場面で選択を誤らせるかもしれない。
ナンバー8には、相良昌彦選手が帰ってきた。いわずと知れた前監督の息子さん。
昨年度は彼にだいぶ苦しめられたので、要注意人物である。

早稲田は従来のような絶対的エース格の選手は少なくなってきたけれども、彼らのもつ文化というのは逆境を挽回するインテリジェンスが強みなので、どんなに圧倒できたとしても油断禁物。
とくに嫌な雰囲気だなと思うのは、下馬評で帝京が有利と多くの人たちが言い始めたときだ。おのずと、そういう時は有利とされた側が苦しめられる。過去に何度も見てきた帝京の黒歴史である。
それらも含めて考えると、自分の予測が外れることを期待しているが、明日の試合はタイトな試合になるんじゃないかと思っている。

そして、早稲田戦は帝京にとって重要な試金石になる。対抗戦の試合結果がおのずと大学選手権の立ち位置を決め、帝京にとって二回目の連覇記録にむけた大きなアドバンテージになるからだ。
かつて同志社の三連覇が幻の連勝記録と呼ばれたほど大きな存在感を示してきたが、仮にその三連覇を二度も達成したあかつきには、帝京は絶対的な存在として大学ラグビー史に杭を打つことになる。
初監督が連覇記録を達成できたら、それも過去に例がない記録として語り継がれるだろう。今の三年生、二年生は非常に充実しており、帝京の黄金時代を引き寄せる可能性を秘めている。
その重要な橋頭堡を築く戦いが早稲田戦であり、この試合に関しては並々ならぬ思いを持ってほしいと願っている。
後悔しても失ったものは取り戻すことはできない。未来の自分たちを後悔させないためにもすべての力を出し尽くして試合に臨もう。