紆余曲折を経て始まったリーグワン。

当初はコロナに翻弄され、運営の行き違いもあってゴタゴタがあったものの何とか決勝戦までたどり着くことができた。

下馬評通りというべきか、大半の人たちが予想した通り、頂上決戦は東京サントリー対埼玉パナソニックになった。

両者ともに際だつのは危機的な状況のときでも冷静さを失わず、自分たちの強みをいかんなく発揮してきたことだ。


なによりも注目されるのは、両チームとも帝京OBが多数在籍していることである。

キャプテンは両方とも帝京OB。

パナソニックが坂手淳史選手で、サントリーが中村亮土選手。中村選手が大学三年生か四年生のときに、うちにすごいタックルをかます一年生がいるんですよ!と語っていたのが坂手選手だった。

時を経てリーグワンの初チャンピオンを巡り、両者がキャプテン同士として対決するとは感無量である。


いまやパナソニックというよりも日本代表の顔になってるのが堀江翔太選手。36歳という年齢ながら衰えを感じさせないところに最早バケモノ感が漂う。伝説の選手として語り継がれることは間違いないだろう。

竹山選手もフィニッシャーとして才能をいかんなく発揮しており、優勝に弾みにつけて日本代表の選出も狙いたい。

松田選手は残念ながら怪我で出場できないが、これまでの貢献は計り知れず。松田選手がいたからこそここまでたどり着けたと断言できるだろう。


サントリーは、帝京OBがかなり多い。準決勝の出場メンバーをみるとツイ選手に、飯野、流、中村、尾崎兄、森川、堀越、尾崎弟と、23人中8人が帝京OBだ。これに森谷、細木、呉選手も控えているわけだから、全員が出場したら半分が帝京出身チームになる。


パナソニックは盤石ぶりが際だち、往年の無敵だった頃の帝京を彷彿させる。

サントリーは、爆発的な勢いとともに、芸術的なオフェンスでどんな相手でも切り裂くポテンシャルを持つ。

流選手はサントリー内のインタビューの中で、規律がキーポイントだと語る。これはどんな試合にも言えることであるが、強いチームはその優位性ゆえに規律を保ち、試合の主導権を握ることができる。

一般的にパナソニックが絶対王者の立ち位置で、サントリーがチャレンジャーとなるだろう。29日は、サントリーがどこまでパナソニックの牙城を崩せるか注目だ。