矢野武さんのラグビー語ろうぜ! で、第80回のゲストは帝京キャプテンの細木康太郎選手だった。
YouTubeでは音声のみであるが、約1時間に掛けて思う存分、ラグビーについて語っている。

話はときおり時間が行ったり来たりするが、だいたい時系列で話のやりとりをしていた。
細木選手の生まれは新潟で、小学校1年から6年生までサッカーをしていたという。ただそのうちに自分の限界を感じ、中学生にあがるときにはお父さんがラグビーを勧めたらしい。その時の本人はそれほどラグビーに興味がなかったようだ。そのラグビーを勧めたお父さんであるが、てっきりラグビー経験者かと思ったら、なんとアメフト経験者だという。
アメフトとラグビーは似て非なるものなので、なぜ息子をラグビーに勧めたのか聞いてみたい気がした。
3つぐらいクラブを見学して、そんなに乗り気じゃなかったけど意識しないうちにラグビークラブに入っていたという。
最初の頃は怖い感じだったし、それほど関心もなかったけれども、中学二年生の頃にコンタクトのおもしろさを覚えはじめて熱中するようになったのと、高校ラグビーで一人すごい人がいて、後々に誰だったのか考えてみたら帝京OBの堀越康介選手だったという。それで高校は桐蔭高校を目指すことになる。
ラグマガでも尊敬する選手に堀越選手の名前があったが、なるほどと思った。
その中学生の時の憧れの選手とまさか高校、大学(キャプテンまで一緒)、そして社会人(サントリーという話があるが、たぶんそうだと思う)まで同じ道を歩むとは思ってもみなかっただろう。

帝京を選んだ理由は、学生のうちから日本代表を目指していたからという。帝京が優勝を逃していたときでも有力な選手が集まってくれたのは、やはり日本代表を最多で輩出しているという実績があったからに違いない。先輩たちの遺産が今の帝京を支えてくれている。

話の中では決勝戦でのスクラムの雄叫びに関しても聞かれて、決勝後はのちのちに同期や後輩からもいじられたという。あれほどインパクトが大きければ仕方ないだろう。本人も反響の大きさに驚いたと語っている。

このラグビー語ろうぜ!は、前回のゲストが岩出監督で、もちろん細木選手についても語っており、26人のキャプテンの中でこれほど注意をしなかった選手は彼が初めてだったと話していた。細木選手は岩出監督にとって集大成にふさわしいキャプテンだったようだ。
細木選手はほめられたことを光栄と語り、もうひとつ光栄だと思ったのが明治大学が細木選手のことを強く意識していたことだという。
細木選手も明治のことをすごくリスペクトしていたので、そのチームから強く警戒されることはうれしく感じていたようだ。

全体を通して話しぶりは非常に淡々としていて、相手の質問の趣旨をきちんと理解しており、やはり帝京ラグビーのキャプテンをつとめている人だけあってクレバーに感じた。
いまは大学の寮を出て町田の実家に戻り、お母さんの手料理を食べる日々という。
しばらくしたら社会人チームに合流して活躍する姿がみられるだろう。

岩出監督も評していたように、知らないことをカッコつけて話すことがなくて、率直な物言いが印象的だった。
試合後に岩出監督と言葉を交わしたらしいのだが、なにを話したのかまったく忘れてしまったというくだりは特にそう感じさせた。
たしかにあの興奮状況では、色々と忘れてしまうのは当然だろう。岩出監督ももしかすると忘れてしまっているかもしれず、お互いになにを話したのか永遠にわからないかもしれない。