大学選手権準決勝は、実力伯仲で僅差になると予測された明治対東海。
結果的に帝京対京産が一番接戦となったわけだけど、この試合も十分見所のある試合になった。
前半の最初こそ明治のペナルティーが続いて東海に圧倒されたが、前半の半ばを迎えると明治による怒濤の反撃でトライを積み重ね、気がつけば21-3と逃げ切るのに十分な貯金を築き上げた。
これで勝負あったかと思われたが、後半でまさかのどんでん返しが起きる。

後半は、明治の入りが緩くなったわけではなかったが、東海の猛追が始まり、なんと開始10分近くで3トライを奪われてしまう。
東海は反撃の起点が明治のカウンターラックだったのは興味深い。瞬間的にボールが奪われそうになるが、東海がボールを確保すると素早く回してオフロードパスを駆使することで、次々とラインブレイクを重ね、あっという間にトライ。二本目はオフロードとキックパスを組み合わせてちょっと出来過ぎたトライだったが、三本目もオフロードと素早い展開で明治のディフェンスを置いてきぼりにすると、鮮やかに走りでトライを取っている。
これは帝京にとっても参考になる一連の流れだった。早稲田相手にもカウンターと早い展開で明治は被トライを献上していたが、帝京もそうした相手を翻弄する展開を心がけたい。

それはさておき、この逆転劇の理由は単なるメンタルの問題では片づけられないと思うが、ただ、幾多の修羅場をくぐり抜けてきた明治に焦りはなかった。
一度はリードを許すものの、本来の力を発揮して堅いディフェンスからチャンスが到来するとメンバーの意識統一からしっかりとボールをつなげて、東海の壁をこじ開けて突き放した。
東海もタックルには行くものの、タックルの甘さが目についてラインブレイクを許す。
そうなってしまうと、ブレイクダウンやスクラムの問題以前になってしまう。



明治は試合を通して人の当たりが非常に強く、体が大きな選手の多い東海相手でも、何度も弾き飛ばしたり差し込んだりする場面が見られた。アイランダー系の留学生みたいな破壊的ペネトレーターは不在だったが、そうした縦の揺さぶりを繰り返すことによってディフェンスラインを崩し、気がつけばバックスの展開でトライを奪ってるというシーンが散見される。
ディフェンスも非常に洗練されており、東海が攻撃のパターンを変えてもしっかりと追随して隙を与えなかった。
明治の強みは、そうしたフォワードとバックスが一体化したところにあり、帝京にとって対抗戦では一度勝てた相手であっても、決勝戦では一筋縄ではいかないだろう。




決勝戦の注目は、やはりスクラムを筆頭にあげられるが、まずはペナルティー。しっかりとレフリーとのコミットも含め管理できないと厳しい試合になってしまう。
もうひとつはブレイクダウン。
明治はめざとく、ここぞという場面でカウンターラックを仕掛けてくるので、セカンドマンレースが重要になってくる。
ターンオーバーされると容易にボールは返ってこないので、素早い展開と同時に慎重にボール保持する必要性がある。
一方で明治にも弱点はある。圧力に屈するとパスミスがでてくる。特に帝京のような圧力の強い相手になると、必ず何回かは見られるので、それをチャンスに変えて攻撃の起点にしたい。

とにかく明治はバランスに優れたチームで、今年度の最強の相手だろう。計算できない部分が大きいため、臨機応変に対応できるためにもコミュニケーションが重要になってくる。