実は数日前からお腹がシクシクして、まんじりともしない夜が続いていたのですが…

一昨日、朝から夜にかけてそのお腹の痛みは急激に強まっていき、

突然真夜中に、とうとうベッドの上でもがき苦しむほどになったので

いよいよ

これは和田。


マジでヤバイやつじゃね?


と焦りだしました。

ネットで似た症状に該当する病気を調べようと震える手でスマホを操作したのですが…

こういう悪い時はさらに悪いことが重なるもので

こんなときだというのにスマホの速度制限がきてしまい、僕はネットで情報を入手する術を完全に失いました。

そんなわけで、すぐさま母に連絡し、「とりあえず体温計を計れ」と言われ、「とりあえず体温計を計れ」と言われても引っ越したばかりで体温計を持っていなかったので、なんとか傘を杖がわりにして全身全霊で近くのコンビニに行き、体温計を買い、

そして、計ったら…


37度4分でした。


これ、ヤバイの?ヤバくないの?

普段スマホに頼ってばかりの人間はこういう時弱いです。自分の体だというのに自分に自信を持てません。

仕方がないので再び母に連絡しました。

僕「なんかさ37度4分だったんだけど」

母「それ完全に盲腸」

僕「まじ?」

母「まじ」

僕「盲腸ってほっとくとどうなんの?」

母「腹膜炎をおこす」

僕「腹膜炎を起こすとどうなるの」

母「腸が…爆発する」

母に聞いたのがバカだったと悟った僕はすぐさま大通りに出てタクシーを拾い

タクシーに乗ったはいいけど夜間もやっている病院が分からずネットで検索しました。

僕は完全にレビュー人間なので、スマホで評価を見ないとお店にも入れないし病院すら選ぶことが出来ないのです。

でも…

そうです。



速度制限…。



仕方がないので比較的自宅から近い夜間診療も行っている病院に行きました。

病院につくと優しい看護士さんに症状を告げ、そしてすぐに診察室に通されました。

そこからの記憶は腹痛のせいで曖昧だったのですが、

担当の先生に促されるまま、

点滴(血液検査込み)→CT→レントゲンという流れを終え、再び先生に診てもらえたのが、深夜1時を過ぎた頃でした。

そして、再び診察室に通されたとき

僕が改めてこの外科医に対して感じた第二印象は


胡散臭い


ただこの一言に尽きます。

先程は腹痛のせいでそんな余裕はなかったのですが、

こうして改めて対面すると

なんとなく胡散臭いのです。

それは不健全な理由から「俺、産婦人科医になるわ」と言っていた中学の同級生に顔が似ているから

というのもありますが、

無造作な髪に眼鏡をかけ、伏し目がちところとか、もう醸し出すもの全てが僕を不安にさせるのです。

僕「やはり盲腸でしょうか」

先生「血液検査やCTを見たのですが…」

「血液検査やCTを見た」という言葉よりは「さっきまで自宅でゲームしてました」と言われた方がしっくりきます。

先生「虫垂炎(盲腸)ではないですね」

僕「そうですか」

先生「和田さんはアレルギーや小さい頃は喘息も患っていたということなので今回は造影剤を使っていないのではっきりとは言えませんが虫垂炎ではないとは思います」

僕「そうですか」

先生「それに虫垂炎でしたらこんな風にしていられませんよ」

「こんな風にしていられない」

頭の中で何度も反芻しました。


「こんな風にしていられない」


って僕は何も今遊んでいるわけじゃないんですよ?

今も現在進行形で腹痛はあるわけで、それは確かにこの外科医も高い学費を支払って大学で素晴らしい知識を身に付けて、勿論これまで診てきた経験からの発言でもあるでしょう。

本当に僕はたいしたことがないのかもしれない

でも、今苦しんでるのは目の前の患者なんですよ

ちょっとデリカシーに欠けていませんか?

先生はカルテばかり見て、目の前の患者を診ていません!

そんな医療ドラマにありそうな類型的な台詞と共に次第に怒りが込み上がってきました。

僕「盲腸ではないということは、では胃腸炎とかですか」

先生「そうですねー、そうかもしれませんね」

僕「そうかもしれないってどういうことですか?せっかく診てもらっているのに僕も安心出来ないです」

先生「そうですか、まぁ便がかなり溜まっていますね」



「便が溜まる」



そして、再び頭の中で何度も反芻しました。この人の言葉には人を立ち止まらせる力があるのかもしれない。

「便が溜まる」

そんなはずはないんです。

僕は1日に三回ぐらいは必ず出るし、学校の移動教室とか旅行先とかでも必ず出るし、それだけが唯一人に自慢できることだったんです。

まぁ、実際に自慢できることではないので自慢したことはないけども。

僕「ちゃんと昨日も今日も出ていたのですが…」

先生「そうですか、それにしては便が溜まっていますね」

僕「でも、熱が出るほどの便秘になるって考えられないんですけど」

先生「そうですねー、でもそれにしては便が溜まっているんですけど」

僕は別に便秘を軽んじているわけじゃないんです。

家族だったり友人だったり、便秘で苦しんでいる人を沢山見てきたから

便秘を認めたら僕の尊厳が貶められるなんて思わないし

むしろ便秘でも頑張ってる人はいるし

でも、でもでも。

僕だけは違う筈なんです。

血液検査に、CT、レントゲン、タクシー代、その他もろもろも込みで2万円以上もかけて便秘ということはあってはならない。



いや、絶対に便秘ではない。



僕「ということは、原因不明ということですか」

先生「いや、原因不明というか便が溜まっているなとしか言えません」

そう言って先生はレントゲンの写真を指示棒で指しました。

グリグリ、グリグリと指示棒で写真をこねました。


まるで法を犯した罪ビトに証拠を突き付けるみたいに。


だから~違うんだってば~

便秘じゃないんだってば~

本当に本当に泣きそうになりました。

僕「薬とかは頂けないんですか?」

医者「じゃあ痛み止めくらいは出しときますか」

じゃあって…

僕「…ありがとうございます」

医者「では点滴が終わってから…」

僕「いえ、明日も早いのでもう大丈夫です」

腹痛は決して収まりませんが、この空間から一刻も早く立ち去りたかったのです。

医者「そうですか、では看護士にそのように伝えときます」


と、あっさり。


自分で言っといてアレなんですけど、驚くほどあっさりしていました。

もっと…

「点滴だけはしていってください楽になりますから」

みたいなプロとしてのなんかそういう拘りというか意地みたいのが欲しかった。

大切にされたかった。

それもこれも僕が便秘だったからなんだ。

診察室を出て、待合室で携帯を見ると母から「どうだった?大丈夫だった?」という連絡が入っていて泣きそうになりました。

そして、インターネットを何気なく覗くとさっきまで滞っていた接続がいつの間に開通していて、

この病院のレビューが表示されていました。

星5つのうち、

星2つ。

評価というのはあくまで他人の見解です。それは不確かなこともあるかもしれない。

ですが、このブログを書いている今もまだシクシクしています。

そして、今日も和田は快便です。