最近パラレルワールドとかタイムスリップものの映画ばかり観ています。

 

そのせいなのか、過去に戻ったり、もう1つの世界で運命に抗おうとする主人公は果たして本当に運命を変えているのか。

 

それとも、運命を変えること自体が定められた運命なのではないか。

だとしたら人は大きな運命の流れには決して抗うことが出来ないのではないか。

 

とかそんなことばかり考えています。

 

先程も定食屋でとんかつ定食を頼んだんですけど、僕のもとに届いのはささみ揚げ定食でした。

 

見た目はノーマルなとんかつそのものですが中はささみ。

 

こんなことってありますか?

 

もうとんかつを頼む時点でカロリーには目をつぶってるんですよ、それなのになんでささみを食べきなきゃいけないのですか。おまけに大根おろしとポン酢がついていて、なんかヘルシー。

 

でも、僕はとんかつを食べたかったんです。中途半端にヘルシーな物を食べたくはなかった。

 

 

まぁ、黙って食べたんですけどね。

 

 

美味しいですよそりゃ。

 

 

美味しいに決まってます。

 

 

これも運命なのかもしれませんね。

 

そして、僕のもとにこのささみ揚げ定食が届くのとほとんど同時くらいに僕の隣のテーブルに座ったオジサン。

 

このオジサンと今日出会ったこともまた、もしかしたら運命なのかもしれません。

 

オジサンはカツ丼を頼むと、スマートフォンを慣れた手つきで操作していました。

 

そういえば前回のブログの記事もオジサンが出てきましたがこのオジサンではありません。

 

というか僕はこのオジサンのことを知っているのです。

 

では、これまで会ったことがあるのかというと会ったことはありません。

 

じゃあこのオジサンは一体何者か?

 

結論から先に話すと、このオジサンの正体は同級生のお父さんです。

ですから、僕はなにげに迷っていたんです。挨拶すべきかどうか。

面識がなくとも、これが仮に彼女や婚約者の父親だったら「お義父さん!」と挨拶すべきなのかもしれませんが、

 

同級生の父親で、お互いに面識がないのではあればそれはあかの他人です。

 

しかし、僕にはこのオジサンを「あかの他人」というだけでは片付けられません。

 

なぜなら、僕がこのオジサンの人生を狂わせた張本人だからです。


少し前の話になりますが、、、

 

同級生、同級生って言いづらいので仮にA君としておきます。

 

A君の家族は皆無類の犬好きで、特に先程カツ丼を頼んだA君の父がペットの愛犬を物凄く溺愛していて、必ず休みの日は愛犬と一緒に散

歩に出掛けるそうなのです。

 

そのお父さんにはこれといった趣味がなく、休日に愛犬と過ごすことが唯一の楽しみらしいのです。

 

僕はその話を聞いて「ぴったりのものがあるよ!」とその子に設置型のドッグカメラを勧めました。

 

そのドッグカメラは、留守番中の愛犬の様子をどんなに離れた所からでもスマホのアプリで確認することができ、更におやつのボタンをタッチするとおやつが飛び出したり、話しかけたりすることが出来る、もう全ての犬好きにおすすめ出来るものなんです!

 

僕はペットは飼ってないんですけど、いつか飼った時に絶対買おうと決めていたものなんです。

 

だから、A君に「お父さんに教えなよ」って言ったら、もうその翌日に買ったみたいで…

 

僕もなんだか善いことをした気がして嬉しくなっちゃって、それで先日A君とファミレスに行ったときに聞いてみたんです。「お父さんどう?」って。

 

 

そしたら…

 

 

オジサン(お父さん)…

 

 

スマホが全く使えないらしく…

 

 

アプリをインストールすることが出来ずに断念したらしいのです。

 

 

だから、オジサン以外の家族全員はとても喜んでるらしいです。

 

 

いや、インストールしてやれや

 

 

と思ったのですが、あまりよその家の事に口を出すべきではないなと思ったので、というかあんまり興味もなかったので言いませんでした。

そんな話をA君としていると、突然A君がそのドッグカメラで愛犬を見ようと言ってきたので、僕らはA君のスマホでワンちゃんを見ることにしました。

 

すると、画面はA君の自宅のリビングを映していたのですが、、、

 

そのドッグカメラはどうやらテレビの横に設置していたらしく、正面にはソファに座りテレビを見てくつろいでるオジサンの姿が映っていました。

 

 

A君「あっ、これうちの父さん」

 

 

僕     「そうなんだ…ワンちゃんは?」

 

 

A君  「どっかいったのかなー、いないね。つーか俺トイレ行ってくるわ」

 

 

とスマホの画面をそのままにして、A君はトイレに行ってしまいました。

それから暫く、僕はA君の帰りと、愛犬がリビングにやって来るのを待ったのですが、全く来る気配がなく、ただただオジサンのテレビを観ている映象を見させられていました。

 

ですが、オジサンの休日を見させられても僕にとって全く面白くありません。

 

これが『魔が差した』ということなんですかね。

 

ふと、気が付くと僕は餌のボタンをタッチしていました。

 

すると、物凄い勢いで餌が飛び出して、ソファのどこかに当たり、オジサンは突然の出来事に驚き飛び跳ねました。

 

 

オジサンの驚き具合は僕の想像以上のものでした。

 

 

しかもやってから気付いたんですけど、こういうイタズラって友達でもない人にやってもなんも面白くないんですよ。

 

やった後、物凄い勢いで後悔しました。

 

しかもオジサン、カメラにどんどん近付いて来てカメラを覗き込みながら「またお前か!◯◯か!それとも◯◯か…」って家族全員の名前を

 

呼んでて…

 

家族全員からイジられてた事実を知って尚更悲しくなりました。

 

目は合っているのに向こうからはこっちが見ていることが分からないので本当に申し訳ない気持ちになりました

 

それからその後、トイレから戻ってきたA君にオジサンにまつわる色々な話を聞きました。

 

休みの日に急に雨が降ってきて、洗濯物を取り込まずにテレビを観ていた事が発覚(ドッグカメラで)して夫婦喧嘩になったり、

 

実はオジサンはリビングでエッチなビデオを観るときにドッグカメラのスイッチを切っていて、だから、ドッグカメラのスイッチが切れている時はそれを観ているということをオジサン以外の家族全員が知ってるとか。

 

なんだかオジサンを監視するカメラみたいになってますよね。

 

僕がこの人の人生を狂わしたのかもしれない。

 

もしタイムスリップすることが出来たとしたらオジサンはドッグカメラ、絶対買わないと思うんですよね。

 

でも、運命には抗えない。

 

すまない、オジサン。

ふと、スマホを弄っているオジサンの手元を見ると、慣れているように見えたその動きは、両手持ちでぎこちない動きでした。

 

僕は知っているが、この人は僕のことを知らない。

なんて奇妙な出会いだろうか。

 

オジサンはきっとカツ丼が出来上がるのを楽しみに待っているのかもしれません。

 

でも、ささみ揚げ定食が届けばいいなと、ひそかに願った僕でした。