韓国映画の政治ネタ | 野中宗助の日常

野中宗助の日常

漱石「門」の主人公の名前を拝借

昨日観た韓国映画。

 

「VIP」というのはポスター左上の若い男、北朝鮮の幹部の息子。

 

父親が失脚して脱北して韓国にやってくるが、いわゆる「殺人鬼」。

 

人を殺すことを楽しむサイコ。

 

彼は北朝鮮でも、脱北した韓国でも殺人を楽しんでいる。

 

しかしアメリカのCIAと韓国の情報局は彼が父親の秘密口座を知っているとして庇護し、殺人を不問にする。

 

韓国の警察は証拠を積み上げて逮捕するも情報局に阻止される。

 

韓国の刑事を助けるのは北朝鮮から脱北してきた北朝鮮の刑事。

 

やはり彼を殺人鬼として追っている。

 

協力して彼を裁きたいという流れ。

 

警察と情報局の対立という構図の映画を、ほかにも観た。

 

北朝鮮との対立が熾烈を極める韓国では日本では考えにくい情報局(国家情報院)の存在が大きい。

 

いわば治外法権。

 

そこで矛盾と警察との軋轢が生じる。

 

真相か、国家の利益か。

 

また北朝鮮の影がちらつくのも韓国映画の特徴。

これはソマリアで実際にあった事件をもとに描かれている。

 

「モガディシュ」というのはソマリアの首都で、1991年に政府軍と反政府軍の戦闘が起こり、韓国と北朝鮮の大使館が協力してソマリアからの脱出をはかるという話。

 

戦闘前は激しく罵り合っていたが、お互い頼るのは同胞しかいないという展開になる。

 

北朝鮮との対立、情報局、軍事独裁と民主化運動、韓国映画はストレートに政治を描く。

 

それもリアルに。

 

ある意味、映画のネタに困らない。

 

しかし政治ネタが多いから韓国映画が面白いという訳ではない。

 

日本の政治が韓国に比べて「おとなしい」から政治を映画ネタにできないのでもない。

 

ようは映画ネタへの貪欲さである。

 

なにかネタはないかと韓国の映画人は這いずり回っている感じがする。

 

ネタ探しに懸命だと言ってもいい。

 

日本の映画はアニメや小説から安易にネタを探すか、あるいは昔の映画のリメイク。

 

タブーも含めて、なんでも映画にしてやろうという「熱意」みたいなものがない。

 

テレビがどうしようもなくつまらなく、娯楽の欠ける現状を考えるともっと映画作りに情熱があってもいいはずだ。