頭隠して尻隠さず | 野中宗助の日常

野中宗助の日常

漱石「門」の主人公の名前を拝借

おとといのNHKニュースで「共同親権」について伝えていた。

 

で、「あれ?」と思ったのは共同親権についてどう思うかという当事者のインタビューである。

 

当事者というのは離婚した父親と母親だ(二人が夫婦というわけではない)。

 

インタビューに登場した男は親権を持たない父親、女は親権を持つ母親。

 

インタビューの中身はここでは問題ではない。

 

まず違和感があったのはインタビューに登場した二人のプライバシー保護のために顔を隠し、声も変えている。

 

ところが声=音の変え方が極端過ぎて、男女二人の声がまったく「同じ」なのだ。

 

変えられた声=音は男の声に聞こえる変え方で、女(母親)の声が男の声にしか聞こえない。

 

それが気になって、インタビューの中身(母親の主張)が頭に入ってこない。

 

もう一つの違和感は顔をみせない男のネクタイの柄があまりにもはっきり映っていて、もしこのネクタイをつけて出勤でもすれば彼の素性はすぐばれてしまうと思われたことだ。

 

いわば頭隠して尻隠さず。

 

完璧に個人を特定できない見せ方をするになら撮影に工夫が必要で、ネクタイなど特定できないように男の背後から撮影するとか、下半身だけの方が良かったと思われる。

 

別に犯罪者ではないのだからそこまでやる必要がないと言うのなら、女の声が男の声にしか聞こえないほど声を変えることがおかしい。

 

そして思ったのは彼らをNHKはどうして見つけたか?である。

 

彼らは取材した記者の身近な知り合いではないか?あるいはNHKの職員ではないか?ということだ。

 

別にそれでも、そういう事情を抱えた人物なら「偽者」ではないが、記者の都合のいい答え方をしたと疑われるだろう。

 

弁護士かなにかに依頼してそういう事情を抱えた人物を探したとは思えない。

 

弁護士には守秘義務があり、親権を争う人物を教えたりはしない。

 

だとしたら彼らをどうして見つけたのか?

 

さすがに偽者をつかった「やれせ」をやればNHKにとっては大きなダメージをなり、そこまでやる必要もない。

 

でも疑問は残る。

 

疑問を残すのはニュースとしては失敗だと思える。

 

もしネクタイの柄がはっきり映らなければ自分はこんな疑問を持たなかった。

 

ニュースを担当するNHKのスタッフがこの演出(顔を隠す、声を変える)を「おかしくないか?」と疑問に思わないことがわからない。

 

フィクションである映画やドラマではフィクションである違和感を感じさせないように撮影などに工夫をしてリアリティを追求する。

 

ニュースはフィクションでないから「そのまま」見せればいいと思っているのかもしれないが、顔や声を「隠す」演出をするとそれはフィクションになり、そこでの違和感をみせてはいけない。

 

そんなことがわからないことがプロではない証拠だ。