スピード退職はおかしいか? | 野中宗助の日常

野中宗助の日常

漱石「門」の主人公の名前を拝借

昨日「ニュースウオッチ9」で「新社会人のスピード退職」というのをやっていた。

 

まだ4月、月初めに入社して新社会人がもはや退職するというのは「おかしい」というとらえ方。

 

そう考える方がむしろ、おかしい。

 

入社してすぐに仕事に疑問を持つのはむしろ至ってまとも、だと思う。

 

ミスマッチという言葉も使っていたが、そもそも仕事はすべてと言っていいほどミスマッチだと思う。

 

仕事が人間にマッチすることが難しい。

 

それでも我慢し、40年の長きにわたり一つの仕事に従事するのは食うためである。

 

我慢するか、しないかだけで、我慢はいいことではない。

 

自分も22歳で卒業し、すぐに就職したが1か月で退職した、

 

理由は入社数日後、17時の退社時に係長に呼びつけられ「営業に出かけた先輩が戻ってくるまで退社せず、戻ってきた先輩に仕事の話を聞け」と指示されたからだ。

 

バカバカしいと思って翌日、退職願いを提出した。

 

仕事そのものというより、そういう仕事の「やりがい」の押し付けみたいな発想は耐えられなかった。

 

仕事が人間としての鍛錬の手段みたいな。

 

そんな鍛錬、修養はいらない。

 

それから2年間、バイトで生計をたて、2年後に縁あって、そののち40年在職する会社に入社した。

 

その会社というか、職種はマイペースで、上下関係もあまりなかったので救われた。

 

それでも仕事というのは金儲けであり、理不尽、不合理なことだらけで、まっとうな人間の「やる」ことではない。

 

定職に就くというのは、自らのまっとうさを失い、「こんなものか」とあきらめることでしかない。

 

「ニュースウオッチ9」では退職願い提出代行会社が紹介された。

 

退職願いを提出する「勇気」がない新入社員のために代わりを果たす。

 

へえ~、と思うが、言い換えればそこまでして「やめたい」ということだ。

 

そこまで悩みを抱えているということだ。

 

いまだ職業選択の自由が保障されていない。

 

退職願いを出して上司に嫌な思いをさせられるぐらいなら金を払って誰かにかわってほしいと思うのは人情だと思う。

 

仕事や会社に対する不満に麻痺した人間は、我慢できない人間をバカにするが、それを疑ったほうがいい。

 

このニュースを伝えたアナウンサーはアナウンサーという仕事を誇りに思っているのだろうか?

 

このニュースもそうだが表層ばかりを話題にし、本質を伝えないわが身に矛盾を感じないのだろうか?

 

他人にちやほやされて自慢なんだろうか?

 

あんたらに入社早々やめたいとおもう人間を「おかしい」と思う筋合いはない。