定点観測と本
本を繰り返し読み返すと、読むたびに新しい発見があるという話は、よく聞く話だ。
考えてみると、本そのものに書かれていることや文章は、不変であるはずである。それにもかかわらず、読み返すたびに新しいことに気がつくということは、要するに、読んでいる自分自身が変わったということなのだろう。
そう考えると、これはある種の「定点観測」と言えるのではないか。定点観測というと、場所を固定して、時が過ぎる中で、周囲の状況がどのように変わっていくのかを観測していくものだ。
一方で、上記の本の話は、「本を固定」して、時が過ぎる中で、自分自身がどのように変わってきたのかを観測するという話である。
これも、本の効用の一つなのだろう。ある意味では、柱の傷と同じような「刻み目」が、一冊の本の中に記録されていくようなものでもある。
読書というのは、人間が生み出した不思議の一つなのかもしれない。