映画「海角七号 君想う国境の南」
地元の公民館で本作の上映会が行われた事で本作を鑑賞する機会を得た。台湾映画というと
従来はホウシャオシェンとエドワードヤンの作品を観たことがある程度だった。新鮮な気持ちで
鑑賞した。
本作の出だしはスラップスティック調である。加えて話の展開がどんどん拡散され、なかなか
回収に向かわない。その中で時折太平洋戦争直後の「友子」を巡るエピソードが漠然と挿入
されていく。観客はある意味で散漫な状態にほうり投げられていくことになる。
ところがある地点を境に話はシリアスさを帯び始める。スラップスティック調は続いているだけ
に観客はシリアス度合いに気が付きにくい作りになっている。気が付くと物語の最終日を迎え、
今までの色々な話が一気に回収されていく。その回収の手法は良く練られていて、観客は引き
続きのスラップスティックなコンサートの中で、ふと気が付くと泣かされている。実に巧妙な
作りとなっている点には舌を巻いた。
本作は戦争中の日本と台湾を基にした話を展開している訳だが、歴史問題に話を突っ込んで
いく訳ではない。誤解を恐れずにいうなら、舞台設定の一部を歴史から借りてきただけである。
そんな「イデオロギー臭の薄さ」が、逆に言うと本作の「純愛譚」を素直に観る事ができる背景とも
なっている。
本作は台湾で大ヒットした作品だと聞いた。僕ら日本人の見方と、台湾の方の観る角度は
また別なのだろうなと思ったことが最後の僕の感想であった。
