「おいしいとはどういうことか」 中東久雄 | くにたち蟄居日記

「おいしいとはどういうことか」 中東久雄

 

先日銀閣寺近くの「草喰 ながひがし」にお伺いしたことで本書を読むきっかけとなった。

二十年来行きたいと思っていたお店の昼食は大変楽しかった。

 

 本書を読んでいて「草喰」という言葉の意味が良く分かった。端的に言うと、メインディッシュは

あくまで季節の野菜であり、時折食材として使われる肉や魚は野菜を引き立たせるための脇役

であるということだ。ここにおいて「季節の食材」というものを強く考えさせられた。

 

 「季節感」というものがある。僕らは何に「季節」を感じているのか。気温、風、空気の匂い等の

変化から僕らは季節を読み取るすべを持っている。加えて、食材の変化という「舌で感じる

季節感」も非常に重要である。特に季節の食材が揃っている野菜類から感じる季節感は

今なお強いものがある。

 

 「季節感」は何の為に生じているのか。「風流」等の暢気な話ではないと思う。人類にとって

季節感を持つ事は死活的に重要だった時代が過去に永くあったのだと思う。四季の変化の中

で人は「次に来る季節」に対する準備を常に強いられていたはずだ。本書においては植物が

いかに次の季節の準備をしているのかについて言及されているが、それは人間も同様

だったのだと思う。その意味で季節感を確りと持つ能力は大事だったろうし、野菜をきちんと

味わえる能力も不可欠だったろう。従い、野菜を味わう事は本当に重要だったに違いあるまい。

 

 というような事を考えさせられた「なかひがし」での昼食であり、本書であった。大変勉強

になった。