カクレンボや知らんぷり | くにたち蟄居日記

カクレンボや知らんぷり

 アメリカのいまの大統領の言動を見ていると、ある意味ではその登場が役に立っている面も

あるとも言えるのではないかと少し考えた。端的に言うと、世界が口には出さないものの心の底

で思っているかもしれないことを分かりやすく具現化して頂いている気がするということだ。具現化

されることで各アジェンダが明確化され、従いそれに対する賛成・賛同・批判・批難・非難も

分かりやすく出来るようになる。

 

もっと言うと、具現化されたものに対して、「何か意見を表明しなくてはならない立場の方々」

が、具体的に表明をはじめることになる。更に言うと「表明することを強いられる」ことにもなる。

要は知らんぷりが出来なくなるということだ。

 

 思想や哲学は時として一人の個人の登場によって分かりやすく「結晶」する。僕の素人理解

ではファシズムに関してはヒトラーやムッソリーニ、共産主義に関してはスターリンや毛沢東等だ。思想や哲学を

論じることは常に容易ではないが、それらが「結晶」された「個人」を論じることは比較的容易

なのだと僕は思う。僕らはヒトラーを論じることでファシズムを語ることが出来る。勿論

ヒトラーの主張したファシズムは極端な形をしていた。大きな意味でファシズムという思想を

体現化していたかどうかには議論があるだろう。但し、「極端な形」だとしても「形」があることで

議論するアジェンダ化が出来たと思う。今のアメリカの大統領も同じように「形」を分かりやすく

提出しているように見える。

 

 今のアメリカの大統領が提出している「形」はとても歪んでいるように思える。但し「

とても歪んでいる」と思うこと自体も世界にとって重要ではないだろうか。彼の登場の前までは

ポリティカルコレクトというカーテンに隠れて色々な本音が見えなかったとも思う。カーテンを

本物にしたいなら、時にはカーテンを開けて隠れているものを出さなくてはいけない。

カクレンボや知らんぷりでは立ち行かなくなりつつあるからだ。