「ルポ 女性用風俗」 菅野久美子
著者の「孤独死大国」を読んだことから本書を読む機会を得た。
本書は題名通り女性が風俗をなぜ利用するのかに迫っている。需要ともいうべき「利用する
女性側」、供給ともいうべき「風俗経営者」や現場のセラピストと呼ばれている男性側の
両方に取材している事で本書の厚みが出ている。初めは題名への下世話な興味で読み始めた
が、途中から座りなおして読み続けた。
著者は「孤独死」と「女性用風俗」には通底しているものがあると言う。共に「社会的孤立」という
視点で見ると重なる部分が多いという視点だ。「社会的孤立」とは、今に始まった話では無い
ものの、その実相の変容の「速さ」に注目する必要があるという点が前書と本書を通読した僕の
感想である。
物事が変容や変化をすることは当たり前である。これは昔も今も同じだ。但し、「速さ」が
異なってきている点は大きな違いである。一言で言うと圧倒的に速くなってきている。速く
させている我々が自分らの加速についていけないということが齎している様々な問題と課題が
現出しているということなのだと僕は思った。「社会的孤立」に関しても、驚くほどの速さで
社会を侵食しているという実感がある。
本書が描き出す様々な人々の話は総じて「明るく前向きな」話が多い。女性用風俗を明るく
前向きに描き出すことは、現段階では大切であると僕も思う。但し、光があれば闇もあるのが
現実である。その意味では著者が将来的にもう一度「女性用風俗」を見直すような状況も
あるのではないか。そこでどのような「描き出し」が出てくるのかは見てみたい気もする。
