「闇バイト」 廣末 登
強盗事件等の頻発を受けて本書を読む機会を得た。
SNS等のコミュニケーションツールが闇バイトを助長する時代となってきている。但し、その
「コミュニケーションツール」は実は「ディスコミュニケーション効果」を齎しているという逆説を
強く思った次第だ。
伝統的な集団犯罪においては、犯罪者達はそれなりにお互いの顔が見えていたのだと思う。
それに対して今の闇バイトにおいては共犯者達はお互いにお互いの顔が見えていないという
状況の様相を示している。実行犯達は指示役と言われる主犯者を知る事は無い。それゆえ
主犯者を見つけることが難しくなっている訳だが、その最大の理由としてはSNS等の
コミュニケーションツールが使われている点だろう。
本来SNS等のツールは人と人をつなぐものだと理解していた。但し、今の闇バイトを巡る状況
を見ていると、むしろ人と人を分断出来るものでもあると思い始めてきた。見知らぬ人同士が
見知らぬままに犯罪に手を染めることが出来るのも「分断」という機能を有する新手の
コミュニケーションツールが出てきたからだと言えないだろうか。
これを突き詰めていくと、今度は政府なり社会なりがSNS等に手を突っ込み始める。最近の
豪州で16歳以下にSNSを禁じる法案も可決されたと聞いたところだ。その先には「1984」という
SF小説が描き出した管理社会が待っていてもおかしくない。そんな社会を歓迎してしまう
時代になりつつあるのではないか。