「冬の本」 夏葉社
本書の「はじめに」は「小さい本をだしたいね」という言葉から始まる。小さい本を出したいという
発想自体が日本人的なのかもしれないと、まず思った次第だ。箱庭であるとか盆栽であるとか
小さい物に「美」や「力」を見出すのは一つの日本の文化である。「力」と書いたのは、例えば
一寸法師等を個人的にイメージしたからだ。本書もその延長上にあると考えることは楽しい。
84名の方が「冬の本」という題材で、見開き2ページという限定された字数の中で自由に
自分の思いを語っている。いや、「つぶやいている」という方が本書には似つかわしいのかも
しれない。「小さなつぶやき」を聞き取るにはこちらも良く耳を傾けなくてはならない。そんな
「傾け方」を問われるのが本書を読むということだろう。
本来なら「春の本」「夏の本」「秋の本」でも良いのかもしれない。但し、やはり「冬」が一番
似つかわしい気がする。寒い時期の永い夜にゆっくり本を読むということは冬の醍醐味
と言える。「寒さ」と「読書」に親和性を感じるのは僕だけではないのではないか。これも
僕の勝手な思い込みながら。