「リリィ、はちみつ色の秘密」  | くにたち蟄居日記

「リリィ、はちみつ色の秘密」 

イメージ 1

 ジャカルタからバンコクに戻る機内で鑑賞した。

 本作はテーマが盛り沢山で、やや散漫なきらいがある。盛り込んだテーマは「父と娘」
であり「母と娘」であり「人種差別」であり、「黒人のキリスト信仰」である。どのテーマも本作には
相応しいものだと僕は思う。但し、全てを盛り込んだことで各テーマが深堀りされていない。
そこが惜しいといえば惜しい。

 個人的には「はちみつ」にもう少し拘っても良かったのではないか。「蜜蜂が集団で花から蜜を集める」
というイメージは、そのまま主人公のリリーが避難するボートライト家に重なっている。ポートライトの
主であるオーガストはリリーに「蜜蜂を好きになりなさい」と教えるが、それはリリーにポートライト家を
好きになりなさいと言っていることを意味している。

 では、集めている「はちみつ」とは何を意味するのか。それはリリーの希求する「許し」なのかも
しれないし、自殺するオーガストの妹が望んでいた天国での安らぎなのかもしれない。そういえばリリーと
ザックの間に芽生える淡い恋も、はちみつから生まれてきたと言えるのではないか。

 そのように「はちみつ」に拘ると案外この映画の「深み」というものが見えてくる気もする。
ここまで書いてきて、再度本作を、今度は機内ではなくもっとゆったりした環境で、鑑賞しようと
思ったところだ。

 良い作品だ。俳優たちが全て非常に良い。