「資本主義の極意」  佐藤優 | くにたち蟄居日記

「資本主義の極意」  佐藤優



 資本主義というものの本質に迫ることで、現代の事象をまとめて読み解こうとする一冊である。「現代の事象」
とは、例えばイスラム国の問題であったり、TPPへの理解であったり、少子高齢化の傾向であったりする。

 僕は物理学には詳しくない。但し、物理学の大きな欲望として「大統一理論の構築」というものがあると
聞いている。平たく言うと、一つの方程式ですべての物理学の事象を説明出来ないかというものだ。
この「大統一理論」を志向する思考は、結構人間の普遍的な方向性だと思う。

 例えば、やや大雑把かもしれないが、「宗教」というものも好例だと思う。僕が理解する「宗教」
とは、人間が自分の身の回りに満ちている「訳のわからない物事」を、ワンストップ的に解決する
ための一つの装置である。理解出来ないことを「神」に持っていったことで、「理解してしまった」気に
なるということは、実はかなり高度な知的作業だ。そのおかげでどれだけ人間が救われたのかを考える
ことは宗教への理解には不可欠だと僕は思っている。

 その前提に本書も乗っている。本書で佐藤は「資本主義」を「大統一理論」の一つとして
援用しようとしていると僕は考える。色々な物事を「資本主義」で整理することの快刀乱麻が
本書を読む面白さである。

 では、その「援用」が正当なものかどうか。そこは留意と留保が必要であろう。但し、
本書の切れ味はまずは鋭いと僕は思う。それだけ楽しい読書であったからだ。この本のおかげで
日経新聞をやや深読みできる気がしてきた。