篠田桃紅と日野原重明の対談
会社の上司に推薦されて、NHKオンデマンドで鑑賞した。TVを観る癖がないので面白い番組を全て
見逃している僕には有りがたい推薦である。
100歳を超えるお二人の対談は、殆ど対談の呈を為していない点が実に面白い。それは年齢による
ものではなく。お二人が全く両極端だからだ。従い、相手の言う事がお互いに理解出来ないような
場面が続く。というか、相手の言う事に退屈していることも多かったのではないか。
日野原は常識人である。聖路加病院という大きな組織の中で、組織人として成功してきた方だ。
彼が対談で語る言葉は、かかる組織人としての「建前」に満ちていると僕は聞いた。ある種の偽善を
時として感じたことも正直に付け加えておく。
一方、篠田が面白い。自身を「自堕落で謙虚さがない」と断言する103歳は痛快といって良い。ある種の
偽悪を感じたくらいだ。
医師と芸術家というものの違いと言えばよいのかもしれない。医師には対峙すべき患者という他者が
いる。
一方、芸術家にとって他者がいるのか。少なくとも篠田という方が何か他者を想定して
芸術を練り上げてきたとはとても思えない。彼女にとっては、乗り越えるべき「本日の自分」がいるだけに
見える。わがままと言えばわがままなのだろう。但し、かなり辛いわがままにも思える。
本作は篠田が主人公である。篠田に驚く人は、自身が日野原側の常識人だからであろう。それが
本作を観ている上での、自分に関する発見であった。