「ゴーン ガール」   | くにたち蟄居日記

「ゴーン ガール」  


 会社の上司に推薦されたので観る機会を得た。自分の好みだけで映画を観ているとジャンルが
限られてしまう。時には、人の勧めで映画を観ることも大事である。本作もかかる推薦がなければ
出会わなかったかもしれない。結論的には非常に面白かった。

 本作をミステリーや謎解き映画だと考えると、やや理解を誤る気がする。

 本作の前半部分はミステリーとして、それなりに精緻な作り込みがある。しかるに、
ある段階で、監督はいきなり全て手の内をばらしてしまう。

 手の内をばらした後の「犯罪」はいささか場当たり的な印象を受ける。ヒロインのその後の
行動は、前半部分のそれと比べると雑であり、稚拙である。警察にしても、弁護士にしても
ヒロインが虚偽の申告をしていることを正確に理解している。犯罪者としてはB級と言える。
従い、犯罪映画としての出来を問うなら、決して第一級ではない。

 但し、監督はそれを承知の上で本作を作り込んでいる。本作のテーマを主人公のマザー
コンプレックスであると仮定すると、観ている風景が変わってくる。

 主人公の母親は癌で亡くなったことが語られる。主人公が母の死をどう受け止めたのかは
はっきりとは描かれていない。但し、この物語は病気の母を看病しようと妻と共に故郷に
帰ったところから始まっているように思える。

 同様に主人公は双子の姉に強く依存している。作中で「近親相姦」を噂する場面もあるが
「兄妹の相姦」ではなく、「母と息子の相姦」という見方をするとそう見えなくもない。

 そして何よりヒロインと主人公の力関係を見ていると、マザコンの一種に見えてくる。
主人公は、ヒロインの悪魔性を理解しながらも、支配され、結局依存して行ってしまう。
そこが本作の一番の怖さだ。

 ヒッチコックの「レベッカ」へのオマージュ作品である。「レベッカが生きていたらこうなったろう」
と強く思いながら鑑賞を続けた。その意味では、本作はヒッチコックを継承する一作とも言える。