第一巻 第一章
「わたしは極端にだらしなくて、すぐ憐憫や寛大さといった心に負けてしまうのだ」
憐憫や寛大に負けることが「だらしがない」というモンテーニュの主張は本当に正しいのだろうかと
思っているところだ。憐憫や寛大とは人間の美徳ではないのだろうか。
但し、改めて考えると下手な憐憫が却って相手の為にならないこともあると思う。冷酷非情にも
見えることが、最終的には冷酷非情さを受けた人にとっても良いということは案外あるのでは
なかろうか。
「誹謗中傷よりも酷いことがひとつある。それは真実だ」とは フランスのタレーランという外交官
の言葉だという。その言葉と響きあう気もしないでもない。