「それから」  森田芳光 | くにたち蟄居日記

「それから」  森田芳光

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久しぶりに本作を見直した。15年ぶりくらいであろうか。

 本作は映画館で鑑賞した。1980年代である。当時は監督の森田の全盛期と言えた。実際
「それから」までの森田の才気走った一連の作品はいま思っても傑作が多い。「それから」以降
はいささか低迷した点が本当に悔やまれる。森田の最大ヒット作は「失楽園」かもしれないが、
あれは別に森田でなくても撮れた作品のように見える。本作は、当時の森田でしか撮れない
傑作だ。

 見直して、小林薫の存在感に気がついた。松田や藤谷に喰わえている印象が強いが、
小林の存在が無かったならば、本作はだれてきたに違いない。小林の起用のような
センスが当時の森田のセンスでもあったのだ。

 夏目漱石の映画化は本作以外には観た事がない。「こころ」「坊ちゃん」等の例もあるようす
だが、案外映画化されていない感がある。考えてみると「三四郎」、「門」、「行人」等の
映画化はそもそも想像が難しい。端的に言うと、夏目漱石は映画化に向いていないのかも
しれない。その中で本作は際立っている。いま、なお。基本的に