「ハル」  森田芳光 | くにたち蟄居日記

「ハル」  森田芳光

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 森田は「それから」以降は傑作が無いと決めつけていたが、本作を観ていなかった点は僕の落ち度
である。本作はかなり良い作品だ。

 車と鉄道の映画である。

 岩手に住むほしは徹底的に車でのシーンが多い。そもそも彼女の昔の恋人も交通事故で亡くなったわけだが
その事故が車の事故であった点は音で表現されている。ほしとハルが初めて相手を目視する場面でも
ほしは車側である。

 一方、東京の場面は、これもまた徹底して鉄道のシーンが多い。ハルは常に鉄道とともにある。ハルとローズが
出会うのも駅だ。新幹線からほしを見る場面でも、彼は当然新幹線に乗っている。

 そんなほしが「鉄道」に乗って東京へ行く場面がラストである。常に一人で車に乗っていたヒロインが
「鉄道で東京へ行く」と決断するまでの成長譚が本作であるとも言える。本作の主人公はお二人に見えるが、
断じて「ほし」が本作の主人公である。ハルが岩手に行くのではなく、ほしが東京に、しかも相手の
乗り物=鉄道に乗って行くのだから。

 森田の夭折は惜しかった。